2017 Fiscal Year Research-status Report
人口減少社会における生活保障のあり方-原発被災地復興支援を題材に-
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16K03354
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
菊池 馨実 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (10261265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
人見 剛 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (30189790)
岡田 正則 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (40203997)
須網 隆夫 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (80262418)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 原発被災地復興支援 / 生活保障 / 地域包括ケア / 地域共生社会 / 原発賠償問題 / 被災自治体財政 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に引き続き、被災自治体に赴き現地調査を行った。浪江町・富岡町の避難指示が解除され、本格的な帰還が開始されたことから、浜通りの帰還状況に係る現地調査に力点を置いた。浪江町・富岡町・楢葉町に加えて、今年度は川内村、南相馬市にも対象を広げることができた。 2017年7月22日(土)早稲田大学において、早稲田大学比較法研究所のプロジェクトの一環として、シンポジウム「避難指示解除後の自治体における現状と課題」を開催した。川内村・楢葉町・浪江町・富岡町の村長・副町長等の報告の後、菊池・岡田・人見・須網を交えた議論を行った。 同年11月4日(土)福島大学において、福島大学行政政策学類の協力を得て、シンポジウム「地域包括ケアから地域共生社会へ-原発被災地域の現状を踏まえた医療・介護・福祉の課題と展望-」を開催した。厚生労働省介護保険・生活困窮者支援担当者、福島県相双保健福祉事務所担当者、南相馬市・楢葉町・富岡町・浪江町の行政・社会福祉法人・NPO法人関係者等による、介護・福祉に特化した内容の多角的なシンポジウムで、地元メディアにより報道された。 2018年1月27日(土)早稲田大学において、早稲田大学比較法研究所のプロジェクトの一環として、シンポジウム「原発賠償問題とは何であるのか」を開催した。今野順夫氏(福島大学元学長)の基調報告の後、原発事故訴訟・ADRに係る清水晶紀氏(福島大学)や弁護団4氏による報告・議論のほか、被災自治体財政にも焦点を広げ、浪江町財政課長や片山義博氏(早稲田大学・震災当時の総務大臣)を交えての議論を行った。 同年2月24日(土)福島大学において、「第1回地域包括ケア地域共生社会研究会」を開催し、猪飼周平氏(一橋大学)による「共生による地域社会の再構築」、鈴木典夫氏(福島大学)による「福島の復興と地域福祉の課題-経験から得た学び-」の2本の報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究開始前は、浪江町に限定された現地とのつながりであったのに対し、初年度、楢葉町・富岡町ともコンタクトをとることが可能になった。さらに本年度は、川内村・南相馬市にも調査の範囲を拡大し、相双地域を広くとらえた視点で調査・研究することが可能な態勢になった。11月のシンポジウムでは、厚生労働省や福島県庁(相双保健福祉事務所)の担当者による参加を得るなど、多層的な行政その他の協力を得られている。福島大学の研究者とも強固な連携を図ることが可能となった。 当初予定していた本研究参加者内部での進捗報告会は行えていないものの、福島大学および早稲田大学にて、当初予定の2回よりも多く、4回もの公開シンポジウムおよび公開研究会が開催できたことで、多数の行政担当者や研究者に有意義な機会を提供することができているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年2月に福島大学において設立された「福島地域包括ケア・地域共生社会研究会」は、福島大学行政政策学類長である鈴木典夫教授を会長とし、本研究の研究代表者である菊池が事務局(企画)を務めるもので、被災自治体の行政担当者、保健・福祉専門職、研究者などを対象とする恒常的な研究会であり、今後「生活保障」班の研究拠点となる。本年度は5月、7月、9月、11月に開催が予定されており、11月には、被災地(南相馬市)でのシンポジウム形式での開催を予定している。 賠償問題については、本研究課題の構想当初の課題であったADRなどに加え、最近増えつつある原発事故訴訟をめぐる判決の分析につき、行っていくことを予定している。 行政サービスのあり方については、本研究課題の構想当初の主題であった二重の住民票構想に加えて、帰還後の各自治体の持続可能な財政問題も検討対象としていく予定である。 今年度は、5,6回にわたる上記研究会の開催に加えて、複数回の公開シンポジウムを行う予定である。
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Causes of Carryover |
旅費の使用に誤差が生じたため。 少額であるため、旅費の一部として使用する計画である。
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Research Products
(5 results)