2017 Fiscal Year Research-status Report
加害者の多数化と客観的帰責原理――組織体における過失競合事例を中心に――
Project/Area Number |
16K03362
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
内海 朋子 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (10365041)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 佳世子 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (10267479)
佐川 友佳子 香川大学, 法学部, 准教授 (10555353)
|
Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
|
Keywords | 過失 / 過失競合 / 過失共同正犯 / 法人処罰 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究では、組織体の活動による法益侵害が問題となる場面を、過失競合事案、過失共同正犯、法人の刑事責任という3つの側面から検討を行ってきたが、本年度は、過失共同正犯の理論状況につき、過失競合論に優れた業績を上げている、ヨアヒム・レンツィコフスキー教授(ハレ大学・ドイツ)、許教授(台湾・国立政治大学)、ルイス・グレコ教授(ベルリン大学・ドイツ)を招聘し、過失共同正犯論に関するシンポジウムを行う準備を進めてきた。3教授の講演および討論会は、2018年3月3日の早稲田大学における、「日独台刑事法シンポジウム『過失共同正犯論』」として実現した。 レンツィコフスキー教授は過失共同正犯肯定説論者として日本でも大変名高く、早稲田大学のみならず、京都大学においても、過失共同正犯と法人処罰論の理論的根拠の関係性について講演をしたただいた。 シンポジウムおよび京都大学での講演会は公開でなされ、この問題に関心を有する専門家に広く議論の場を提供した。また当初予定されていなかった、グレコ教授の招聘は、研究分担者である佐川友佳子准教授の尽力により実現した。シンポジウム・講演会では、若手研究者や大学院生の協力もあり、多数の参加者に恵まれた。なお、シンポジウムの内容は、論稿を公開することにより、広く社会に還元する。 また、本年度は、次年度(平成30年度)の学会ワークショップの枠をこの研究のテーマに関して獲得することができたため、このワークショップの準備にも充てられた。ワークショップでは、過失犯論・過失共同正犯論・法人処罰論に詳しい研究者を1名ずつ、合計3名の研究者に報告を依頼した。本年度は、その準備のため、東京及び京都で数回にわたり打ち合わせを行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度後期開始の研究であったため、昨年度は遅れが生じていたが、研究分担者の尽力により、その遅れを取り戻すことができた。研究分担者の佐川友佳子准教授がウィーンに赴き事前に招へいを予定している教授と打ち合わせを行ったほか、シンポジウムの開催にあたって早稲田大学側の準備を北川佳世子教授が引き受け、代表者・分担者相互間でスムーズな役割分担ができたことが、その大きな理由だと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初、過失犯論・共犯論・法人処罰論に詳しい研究者を招聘して講演・研究会での講師を依頼し、研究会等を開催することを予定していたが、今年度の学会のワークショップにおいて、これらの分野に詳しい研究者が報告を担当することとなった。したがって、研究会の開催に代えて、次年度は、学会でのワークショップの準備等に全力を注ぎたい。
|
Causes of Carryover |
科研費の採用が初年度の後期に決定したため、使用が遅れがちになったためと、本年度については、外国人招へい事業等に向け、出費が膨らむことを予想して予算を立てたが、当初の予想よりは低めの金額にとどまったことが主な理由である。次年度の使用計画としては、海外における研究成果の公表等を含め、研究成果の公表に向けての活動に積極的に使用する予定である。
|
Research Products
(10 results)