2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K03400
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
洲崎 博史 京都大学, 法学研究科, 教授 (20211310)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 人身傷害補償保険 / 人傷保険 / 自動車事故 / 損害額 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、自賠責保険・任意自動車保険・人身傷害補償保険(以下「人傷保険」という)に関する国内文献および自動車保険一般に関する外国文献を収集してそれらの読解を進めたほか、次の二点について踏み込んだ検討を行った。 第一は、自動車事故被害者であって人傷保険契約の被保険者でもある者(以下単に「被害者」という)が加害者に対する損害賠償請求訴訟(または加害者の責任保険者に対して直接請求権を行使する訴訟)と人傷保険の保険者(以下「人傷社」という)に対する訴訟を提起した場合に被害者の損害額がいかに算定されるべきかという問題についての検討であり、論文「対加害者訴訟と対人傷社訴訟―人身傷害補償保険に関する一考察―」を発表した(法学論叢180巻5・6号205-246頁(平成29年3月))。同論文は、元々はJSPS科研費課題番号24530089(「自動車保険における損害額算定基準の在り方」)の研究成果として執筆されたものであるが、執筆の過程で人傷保険の構造が被害者・加害者・人傷社の訴訟追行中の行動に大きな影響を与えうることが明らかになったため、最終的には本研究の成果も一部含む形となった。 第二は、任意自動車保険における被害者の直接請求権にかかる検討である。加害者に対する損害賠償請求は、実務上は、被害者が対人賠償責任保険の保険者(以下「任意社」という)に対する約款上の直接請求権を行使することで取って代わられることが多く、直接請求権にかかる規律を検討しておくことは本研究を進める上でも不可欠と考えられる。主要部分の検討は済んでおり、29年度中にはこれをまとめて公表したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、自動車保険に関する資料・情報を収集するとともに、パーソナルコンピューター等の購入により研究環境を整備することができた。また、前掲論文の執筆により、人傷保険の構造が被害者の訴訟追行に与える影響について踏み込んだ検討を行うことができた。人傷保険や被害者の直接請求権の検討に注力したことから、弁護士費用等担保特約(以下「弁特」という)の本格的な検討には着手できていないが、全体としてみれば初年度の研究として十分な成果が上げられたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年4月から研究科長(任期2年)を拝命したため、29年度と30年度は、28年度ほどには研究時間を割けないことも予想され、効率的に研究を行うことが肝要となる。 研究の具体的推進については以下のように予定している。 平成29年度には、まず、任意自動車保険における被害者の直接請求権に関する研究をまとめて、公表にこぎつけたい。一方、弁特については、約款の分析に着手するとともに損保実務家へのインタビューを実施することで、同保険の構造を明らかにし、さらには、同保険の現在の利用状況や損害賠償請求訴訟への影響についても可能な範囲で調査を行いたい。これと並行して、ドイツにおける弁護士費用保険(ドイツでは「権利保護保険」と呼ばれる)についても調査を進める。 また、自動車保険に関連する国内文献・外国文献の渉猟を行うほか、判例等のデータベースの更新に研究費を使用するなどして、研究環境の基盤整備にも引き続き配意する。
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Causes of Carryover |
研究に使用する物件で2060円以内で賄える適当なものがなかったため、使用しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度に物件費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)