2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K03410
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
山下 純司 学習院大学, 法学部, 教授 (90282532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保野 恵美子 東北大学, 法学研究科, 教授 (70261948)
金子 敬明 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (80292811)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 相続 / 遺産分割 / 監督者責任 / 私的自治 / 身分法 / 意思 / 協議 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、親族関係における合意や協議の意味や、相続関係における被相続人の意思的な関与といった問題について、3人の研究者が研究会等を開催しながら、身分法における私的自治の位置づけという問題についての考察を行うものである。 今年度の研究会は、夏(平成29年8月18日)に東京(学習院大学)で開催された。研究会では、夫婦財産関係や共同相続の場面でしばしば問題になる、財産の共同所有関係をどのようにとらえるかという共通の問題関心の下で、研究分担者金子がイギリス法との比較の視点から組合財産の帰属に関する報告を、続いて研究代表者山下が日本の判例法理の分析を通じた権利能力なき社団の財産の帰属に関する報告を、それぞれ担当し、その後久保野も交え、活発な討論が行われた。 平成29年度の研究会のテーマが、やや抽象的な問題設定になったのは、当初研究計画では前年度である平成28年度に本研究の視座を得る基礎研究を行う予定であったところ、やや具体的な課題を扱いすぎたこともあり、より基礎的な理論研究を行ったためである。 他方で、前年度からの問題意識であり前年度の研究会でも取り上げられた共同相続における預金債権の帰属についての最高裁判例の分析や、不法行為責任と家族のかかわりといったテーマについては、平成29年度に入ってから論文等で具体的な成果として順次公表を行っている。このほか、各人、関連するテーマで学会報告や論文執筆を行っており、研究は順調に進展している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は3人の予定がなかなか合わなかったため研究会が1回しか開催できず、その点では問題意識の共有や意見交換の機会が制限された。しかし、他方で各人での個別の研究成果をコンスタントにあげており、各人の問題意識も明確になってきている。 また、平成28年度に予定していながら十分行えなかった基礎研究の部分について、財産の共同所有関係という限定した方向からではあるが、研究会を開催できたことは大きな成果であった。 事業期間の4年間の2年目としては、順調な進展と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の根幹にあるテーマである身分法と私的自治の関係については、各人の問題意識にそった個別研究をさらに進展させる予定である。 他方で、事業期間の後半に入る平成30年度からは、研究会の開催をより頻繁に行っていくことで、各人の問題意識をぶつけ合う機会をより多く設けていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
共同研究者3人の予定が合わず、研究会が1回しか開催できなかったこともあり、旅費の支出について見込み違いが生じた。また、物品費についても、研究に関連すると思われる文献がそれほど多くなかったため、書籍購入費が予想を下回った。
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