2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K03410
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
山下 純司 学習院大学, 法学部, 教授 (90282532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保野 恵美子 東北大学, 法学研究科, 教授 (70261948)
金子 敬明 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (80292811)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 親族 / 未成年子 / 養子縁組 / 扶養 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、2018年9月8日に学習院大学で第4回の研究会を開催し、金子が「Freeing order をめぐるイングランド養子法の経験」、山下が「非婚カップルの保護」に関する研究報告を行った。また、2019年2月14日に学習院大学で第5回の研究会を開催し、久保野が「特別養子制度にかかる法改正について」、金子が「相続法の改正について----権利・義務の承継の第三者への効力という観点から」というテーマで研究報告を行った。 関連する研究実績としては、山下純司は、業績「成年年齢引下げの民法学上の意義」法律のひろば71巻10号39-47頁において、民法の成年年齢が18歳に引き下げられた背景にある考え方を検討し、親と若者の自己決定を支援する新しい親子関係のあり方のビジョンを示した。また久保野恵美子「扶養契約」『債権法改正と民法学第3巻』367-396頁において、扶養に関わる約束や契約を整理し、法的な問題点を民法債権法改正との関係も含めて考察した上で、今後の展望を示して見せた。また金子敬明「Freeing orderをめぐるイングランド養子法の経験」廣瀬久和先生古稀記念『人間の尊厳と法の役割』289-320頁では、比較法を中心にした研究から、わが国で検討されている特別養子縁組制度の法改正に有益な示唆を提示している。そのほかに報告書であるが金子敬明「イングランド法」大村敦志監修『各国の親子法制(養子・嫡出推定)に関する調査研究報告書』pp.121-141も、同様にわが国の法改正の議論につながるような有益な比較法を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者、研究協力者全員がそれぞれの興味関心から研究を進めているが、実績の概要のところでも紹介したように、成年年齢の引下げ、債権法改正と扶養契約の関係、特別養子縁組制度など、現在わが国で法改正がなされた、あるいは検討されつつある分野についての最先端の研究を、コンスタントに公表論文として形にしている。研究報告の中にはまだ未公表のテーマがあり、今後の公表が期待できる。この点で本研究は順調に進展しているといえる。 他方で、研究会の開催は年2回程度と頻度は高くないが、これは3名の研究拠点が東京、仙台、名古屋に分散しているため、やむを得ない部分がある。研究会の回数自体は少ないが、報告テーマが成果公表につながる率は高く、問題はないと考えている。 以上のような点から、進捗状況はおおむね順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度も研究会を開催する予定であり(第6回は5月17日を予定)、その中で報告された内容について学会あるいは論文として公表を行っていく予定である。また、2019年度は本研究課題の最終年度でもあるため、これまでの研究成果を総括するとともに、今後の研究につながるような新たな研究課題について話し合いをする予定である。
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Causes of Carryover |
研究者が東京、仙台、名古屋に分散しているため、研究会開催時には旅費の支出が見込まれるが、今年度は思ったほど旅費の支出がなかった。 翌年度以降も旅費の支出は見通しが不透明であり、予定よりも少ない、あるいは予定よりも多い支出となる可能性があるが、積極的に研究会を開催するなど、適切かつ有効な支出に努めていく予定である。
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