2019 Fiscal Year Annual Research Report
The meanings of intention, agreement, and consultation in family law
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16K03410
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
山下 純司 学習院大学, 法学部, 教授 (90282532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保野 恵美子 東北大学, 法学研究科, 教授 (70261948)
金子 敬明 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (80292811)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 親族 / 相続 / 私的自治 / 身分法 / 意思 / 協議 / 遺産分割 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、2019年5月17日に研究会を行い、研究代表者山下が、「高齢者と金融取引」をテーマに報告を行った。この報告と意見交換は、同年度の金融法学会第36回大会シンポジウム報告「高齢者の金融取引と自己決定権」という形で具体化している。 2016年から始まった本研究は、親族・相続関係における私的自治の役割や、公と私の関係を考えるという問題意識から、当事者の意思、合意、あるいは協議が問題となるさまざまな場面について多くの研究を行ってきた。年に1~2回ずつ開催してきた研究会は計6回行われ、3名のメンバーが1~2本ずつ報告を行い、活発な意見交換が行われた。その報告の多くは、親族法や相続法の中の先端的な問題を扱うものであって、多くの具体的な研究業績に結びついている。 本研究で明らかになったのは、親族・相続関係においても、私的自治の原則の尊重、すなわち当事者の意思による関係形成に重要性が見いだされることは当然であるが、その現れ方は、財産法の領域におけるよりも複雑かつ多様だということである。研究代表者山下は、婚姻外カップル、未成年者、高齢者について、自己決定権の尊重という観点から問題を整理してきたが、既存の法制度(婚姻・能力制度)が守ろうとする価値との衝突や、脆弱さを抱える当事者(子ども、高齢者)の保護の要請とのバランスをいかにとるかという問題に常に悩まされることになった。研究分担者久保野が中心研究テーマとした後見制度、研究分担者金子が中心研究テーマとした相続制度においても同様の問題が観察されたほか、両名がサブテーマとして研究した特別養子制度の改正でも、養子縁組の円滑な実施や、養子となる子どもの福祉の考慮という要請と、子どもとの関係を絶たれる実親の意思の尊重という要請とのバランスが問題となることが確認された。
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