2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K03451
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
高嶌 英弘 京都産業大学, 法学部, 教授 (70216646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂東 俊矢 京都産業大学, 法学部, 教授 (40189733)
野々山 宏 京都産業大学, 法務研究科, 教授 (80388016)
中田 邦博 龍谷大学, 法学部, 教授 (00222414)
草鹿 晋一 京都産業大学, 法務研究科, 教授 (30327118)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 消費者法 / 消費者法教育 / 消費者教育 / 消費者市民社会 / 消費者教育の推進に関する法律 / 消費者教育推進法 / EU消費者法教育 / 法教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、昨年度のEUにおける消費者法教育調査に引き続き、坂東がアメリカ消費者法教育学会(Teaching Consumer Law Conference2018)に参加し、アメリカにおける消費者法教育の現状と課題を調査した(2018年5月16日~21日)。具体的には、ヒューストン大学の消費者法センター(Center for Consumer Law)に設置されている「市民ロースクール(People's Law School)」の趣旨や活動を調査するとともに、同学会において、アメリカにおける消費者法教育の現状を調査し、ヒューストン大学消費者法センター長のProf. Richard Alderman先生や旧知のProf. Geraint Howells先生らと情報交換をする機会を持った。 また、以下の内容で研究会を順次開催している。まず海外調査関係については、EUにおける消費者法教育調査のとりまとめとして、高嶌が「EUにおける消費者法教育調査(2018年3月21日~29日)」を報告するとともに、坂東がアメリカ調査のとりまとめとして「アメリカ消費者法教育学会で学んだこと-消費者の権利の教え方と課題」を報告した。法情報教育については、株式会社TKC執行役員・リーガルデータベース営業本部長 山澤和之氏が「今後の学部教育における法律関連データベースと教学システムの意義と機能」を報告するとともに、日本データパシフィック株式会社社長、平 治彦氏が「オンライン情報倫理教育の現状と今後の課題」を報告した。 さらに、EUにおける消費者法教育の現状と課題については、2019年秋に開催される日弁連シンポジウムにおいて、高嶌が報告を担当することが決定している。あわせて、従来の研究成果を、雑誌「消費者法ニュース」にて連載することが確定しており、現在、初回及び第2回の研究報告が校正段階にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究がやや遅れていると評価するに至った第1の理由としては、当初、2017年度に予定していたアメリカ調査を、隔年で開催されるアメリカ消費者法教育学会の日程にあわせて2018年度に変更した結果として、諸外国における消費者法教育のとりまとめが遅れ、諸外国の現状報告が2019年度の研究会にずれ込んでしまったことが挙げられる。また、第2の理由として、当初予定していなかった新しい試みを昨年度から今年度にかけて実施中であることが挙げられる。すなわち、昨年度から私立大学情報教育協会との共同実験授業として、京都産業大学、神奈川大学、日本大学、複数の消費生活相談員等と連携しつつ、専門家の協力を得て、オンラインで消費者問題を議論する実験授業を実施している。この実験授業を本研究の一環として取り入れ、今年度も継続しているため、これが全体のとりまとめと総括が遅れている一因になっている。しかし、この試みは今後の消費者法教育の実践研究として高い意義を有するものであり、本研究の主たる目的である消費者法教育の内容と到達点の明確化を実践的に考えるうえでも役立つものである。さらに、法情報教育については、当初の予定を広げて、TKCや日本データパシフィック等の法情報データベース及びオンライン法教育を行っている先端企業との意見交換及び今後の研究連携合意を実現することができた。この点は、今後、本研究を現実の消費者法教育に活かしてくための具体的な方策やシステム実現を検討するうえでも重要な試みである。 以上のことからすれば、全体としての計画の若干の遅れは、むしろ、本研究全体の成果をより実りあるものにするための研究範囲の拡大の結果として評価することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
先述した研究対象の拡大を受けて、次年度は、以下の3点の推進方策を行う予定である。 まず、EU調査、アメリカ調査の結果をとりまとめるとともに、本研究にご協力いただいた地方自治体や消費者団体と協力して、消費者法教育の体系化に向けた理念と課題を共有するためのシンポジウムを実施する。次に、日本弁護士連合会との情報交換及び共同研究の機会として、日本弁護士連合会の弁護士を招聘して研究会を開催する予定である。また、先述した私立大学情報教育協会とのオンライン研究授業の成果を、私立大学情報教育協会の委員会を通して公表し、社会に開かれた形での消費者法教育のあり方を広く検討し共有する機会を設ける予定である。 さらに、TKCや日本データパシフィック等の企業と協力して、従来の研究成果をオンラインの消費者法教育という形で現実化するための計画を進めている。すなわち、全体としての体系化を踏まえた消費者法教育のスタンダードなテキストとして、オンラインで学習できるシステムを企業と協力して作成することを計画している。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、アメリカ消費者法教育学会に参加できる共同研究者が少なかったことから、これに関する調査費が予定額よりも少額で足りたことによる。次年度使用額は、消費者法教育のe-learningシステムの構築に向けて、この分野の専門家及び学外の研究者との内容打ち合わせを引き続き行うために使用される。
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