2021 Fiscal Year Research-status Report
公共政策決定過程における「談合」「取引」の発生要因の研究
Project/Area Number |
16K03501
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
宮脇 昇 立命館大学, 政策科学部, 教授 (50289336)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 隆司 立命館大学, 政策科学部, 教授 (10150765)
横田 匡紀 東京理科大学, 理工学部教養, 教授 (20400715)
清水 直樹 高知県立大学, 文化学部, 准教授 (20508725)
山本 武彦 早稲田大学, 政治経済学術院, 名誉教授 (10210535)
西出 崇 京都外国語大学, 外国語学部, 講師 (30513171)
玉井 雅隆 東北公益文科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (60707462)
後藤 玲子 一橋大学, 経済研究所, 教授 (70272771)
藤井 禎介 立命館大学, 政策科学部, 准教授 (70350931)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 談合 / ディール / サイドペイメント / モンゴル |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍が研究対象をいかに変化させているかを、2つの作業仮説をもとに再度検討した。この結果、体制モデルと争点モデルの双方から、談合とディールについての研究手法と理論的整理をほぼ終えることができた。ニコルソンのいうように専門化された外交交渉への批判が20世紀に入ってから、とりわけウィルソンやレーニン以降、公開外交や人民外交の名のもとに民主政治の争点となっている。それでも、立法府が外交を行うことは少なく、またあったとしても行政府を補助する、あるいは監視する役割しか担わない。そこに民意と外交との乖離が生まれる。外交主体は等価的取引として認識していても、民意はそうとらえず、多大な説明費用が発生する。これに対する恫喝的取引は、大国に多用された歴史を持つ。 事例としては、2010年代後半のモンゴル・中国・ロシアの関係をトライアングル理論で分析し、コロナ禍がいかにそれに影響したかを考察した。 総じて、談合とそれをもたらすディールは、21世紀の今日になってもなお、あるいは一層のこと現れている。国内の民主主義の深化に比して、主権平等の原則に基づく国際関係の民主化は進んでおらず、むしろ米中露の大国外交にみられるように主権国家間の透明的な意思決定は縮小している。政治体制の観点からは、トランプのように民主主義諸国でもディールや談合が大っぴらに言及されるようになり、技法としての精緻化と政治化がみられる。サイドペイメントが少なくとも、民主主義国モンゴルのような牽制をとりまぜた等価的取引に巧みな国は、外交上手として引き続き評価されるであろう。最適解を探るには、対面による交渉が有利である。ゆえにポスト・コロナの世界が透明性を高めるのと同時に、談合空間も想定しなければ、限られた世界の政治資源と国家間対立を止揚するのが難しいという理解に到達した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のもとでの共同研究の進捗が予定に比べて時間を要したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
出版予定日を確定し校正等の作業を進める。
|
Causes of Carryover |
成果物出版の準備のため次年度使用額が発生した。次年度に出版の献本に支出する予定。
|