2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K03567
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
若山 琢磨 龍谷大学, 経済学部, 准教授 (80448654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 裕二 (藤中裕二) 関西大学, 経済学部, 准教授 (20552277)
舛田 武仁 大阪大学, 社会経済研究所, 特別研究員(PD) (80725060)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | メカニズムデザイン / 経済理論 / ゲーム理論 / マーケットデザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)理論分析:本研究課題では、偽装結婚や偽装養子縁組などの共謀行為によるドナーの融通を防止する性質のことをこれまで「耐事前交換性 (pre-exchange-proofness)」と呼称していたが、ウィリアム・トムソン氏(ロチェスター大学)からの示唆により、公理の内容をより適切に反映させた名前「耐保有交換性 (endowments-swapping-proofness)」に変更した。患者間のドナー交換(直接的ドナー交換)のみを扱うモデルでは、個人合理性、耐戦略性、耐保有交換性を満たす腎臓交換メカニズムがトップ・トレーディング・サイクル・メカニズム(TTCメカニズム)だけであることを示した。平成29年度は、この研究結果に加えて、いくつかの関連する理論結果を論文にまとめ、ディスカッション・ペーパーとして公刊した。そして、この論文を国際的学術雑誌に投稿したところ、編集者およびレフェリーから好意的な評価とともに改訂を要求された。その改訂要求に応える過程で、非分割財を扱うモデルではよく知られている公理である「耐再配分性」と耐保有交換性との関係を明らかにした。現在は、論文の改訂作業を終え、再投稿中である。
(2)経済実験:直接的ドナー交換に加えて間接的ドナー交換(自分のドナーの提供と引き換えに、献腎移植の優先順位を上げてもらうオプション)を扱うモデルにおいて、複数あるTTCメカニズムの拡張版を実験で比較する研究を推進した。具体的には、実験デザインの方針を固めた後、実験プログラムの開発やインストラクションの作成を行った。
(3)本研究課題と関連するメカニズムデザイン研究の論文1本を査読付き国際的学術雑誌に公刊し、2本をディスカッション・ペーパーとして公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理論分析については、「研究実績の概要」でも触れた通り、平成29年度は直接的ドナー交換のみを扱うモデルの論文改訂に注力していたため、直接的ドナー交換と間接的ドナー交換の両方を扱うモデルの分析が手付かずとなってしまった。経済実験については、平成29年度の後半に実験を実施する予定であったが、インストラクションの作成やプログラムの開発に苦慮したため、実施が叶わなかった。しかし、平成30年度に実験が実施できる準備を整えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
理論分析については、直接的ドナー交換のみを扱うモデルの論文改訂は平成29年度内に終えたため、平成30年度は直接的ドナー交換と間接的ドナー交換の両方を扱うモデルの分析および論文作成に力を注ぐ。経済実験については、平成30年度中には実験を実施し、実験データの分析および論文の初稿を完成させる。また、その過程で、セミナー・研究会などで研究成果を報告する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:平成29年度に予定していた経済実験が実施できなかったため。
次年度使用額の使用計画:実験被験者への謝礼、国内外学会参加費および旅費,英文校閲費などに使用する予定である。
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Research Products
(5 results)