2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K03599
|
Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
元山 斉 青山学院大学, 経済学部, 准教授 (20383490)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 標本調査法 / 漸近理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、国内外でミクロデータと呼ばれる調査データの個票の公開が進み、統計法の改正に基づいた公的統計データの公開もその動きに拍車をかけ、従来は、集計データに基づいていた分析から調査データによる分析が主流となってきている。 従来の統計・計量経済の理論の多くは、独立同一標本や時系列構造を前提として構築され、中心極限定理に代表される、豊富で魅力的な漸近理論が構築され、分析手法が確立されて来た。しかしながら、現実の調査データの多くは独立ではなく非復元の無作為抽出や、さらに複雑な層別抽出、多段抽出、クラスター抽出などで得られている。このような標本抽出の枠組みにおける推定は、ときとして推定量に偏りをもたらし、統計量の漸近分布評価を困難とする。しかしながら、このような標本抽出を行った際の統計量の分布についての研究は数学的な煩雑さ困難から未だ十分に行われているとは言い難い。本研究は、上で述べた問題に重点的に取り組み成果を挙げようとするものである。 今年度は、独立同一標本における基本文献の精読を進め、中央値の漸近正規性を従来方法とは異なった手法で証明をして、元山斉「有限母集団からの非復元単純無作為標本に基づく中央値の漸近正規性の一証明」「青山経済論集」第68巻 第3号 2016年12月,pp.67-75.で発表をした。また、ノンパラメトリック推定で用いられる幾つかの統計量についても漸近正規性を証明して、投稿の準備を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までは、既存研究の精査とそれらを踏まえた上での非線形統計量、ノンパラメトリック分析で使用する幾つかの統計量について漸近正規性を証明しており、投稿準備を進めている。 現時点までではおおむね順調に進んでいると評価できると考えているが、投稿後、採択までのスケジュールを考えると、より一層早いペースで研究を進めたいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた成果をまとめて投稿を行うと同時に、新規に対象として取り扱う統計量や関連した研究の可能性も含め文献精査を基に研究を進めていきたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
予算執行上、端数が生じたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
170円と非常に少額であるため、物品費等に含めて調整し執行を予定している。
|