2016 Fiscal Year Research-status Report
家庭系廃棄物に対する望ましいリサイクル政策のあり方に関する研究
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16K03617
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
山本 雅資 富山大学, 研究推進機構 極東地域研究センター, 准教授 (30458947)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 廃棄物 / リサイクル / 産業組織論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、資源の有効活用の観点から、国際競争力のある廃棄物処理・リサイクル産業の在り方を産業組織論に基づいて分析し、効率的なリサイクル政策とはどのようなものか検討することである。
平成28年度の研究計画では、家庭ゴミのリサイクルについて、(1) 基礎データを整理し、(2) 混合企業であることによる課題があるかを分析する、としている。このうち、基礎データの整理については、ほぼ終了した。2008年から2014年の一般廃棄物処理実態調査について、委託契約数などを含めて分析に使用できる形に整理し、とりまとめた。結果として、7年×約1700の自治体のパネルデータを構築したことになる。同時に、EUを中心とした諸外国の状況も含めて、直近の廃棄物・リサイクル政策についてもとりまとめを行った。
このデータセットを用いて、産業組織論の観点から実証分析を行った。これは当初、平成29年度の内容としていたが、データ整理が予想以上にスムーズに進んだため、分析に着手することができた。具体的には、はじめに自治体の廃棄物処理の取引パターンを6つのパターンに特定化した。このグルーピングの一つにはDouble marginalizationの状況も含まれており、グループ別ダミーを含むパネルデータ分析を行った。分析は初歩的な段階であり、今後の精査の必要があるが、double marginalizationによる非効率性はみられず、当初想定していた利潤最大化行動ではなく、税収中立的な行動を委託を受けた事業者が行っていると想定できる。特に自治体のみによる独占の方が費用が高くなる結果が得られたことは特筆すべき点である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で平成28年度分については(1)基礎データ整理と(2)民営化の効果を掲げていた。このうち、(1)については、データ整備はほぼ終了したが、(2)についてはほとんど進んでいない。これは、(1)が順調に進んだため、平成29年度に実施予定であった「産業組織論の観点からみた厚生分析」を前倒しで実施したためである。そのため、総合的に概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
廃棄物・リサイクル分野での混合寡占の状況についての文献整理を進める予定であったが、これについてはほとんど手をつけることができなかったため、平成29年度に優先して行う。合わせて平成29年度に予定しているインタビューおよび厚生分析のブラッシュアップを行っていく。
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Causes of Carryover |
文献調査が遅れたため、人件費の使用がなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度に実施がずれ込んでいる文献調査の補助で使用予定。
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