2018 Fiscal Year Research-status Report
規制とイノベーション(R&D、パテント)の競争と経済成長に関する実証的分析
Project/Area Number |
16K03658
|
Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
中西 泰夫 専修大学, 経済学部, 教授 (40258182)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 誠 広島大学, 社会科学研究科, 名誉教授 (30177084)
山田 節夫 専修大学, 経済学部, 教授 (70220382)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 規制 / 生産性 / TFP / 生産関数 / 参入 / 過剰参入定理 / 多数財 / 代替補完 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、政府による規制と経済活動、その中でも企業行動の分析であり、規制と市場における企業の行動と経済成長に関する分析といえる。今年度は、研究の第3年度であり、第1年度は規制に関する経済分析についてのサーベイがおこなわれた。また実証分析のためにデータの購入を行っており、それらを使用して分析が行われた。第2年度は、理論研究では、寡占市場における企業の行動と社会厚生と規制に関しての研究で、特に参入規制との関係が強く分析されている。実証研究では、生産性と規制に関しての研究が行われた。 そして今年度は、生産関数をコントロールアプローチによりいくつかのの方法で推定した。推定した結果は問題がなく全ての推定式で規制は有意であった。したがってここでは、TFPと規制の関係が実証的に確かめられた。規制とTFPの推定は、多くの方法が可能であるためさらなる拡張が必要とされる。 さらに多数財市場における過剰参入定理の分析をおこなった、多数の財の場合には過剰参入定理が必ずしも成立するかどうか確定できず、むしろ企業の参入は経済厚生を高める可能性もある。モデルを特定化して調べてみると、財が戦略的代替の場合には必ず過剰参入定理が成立するが、戦略的補完の場合には必ずしも過剰参入定理は成立せず、むしろ経済厚生を高める可能性があることがわかった。その上企業が単一市場のみで生産する場合と、両市場で生産する場合の2ケースを分析して、企業数と厚生に関しての分析をおこなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は政府による規制と経済活動、特に企業行動の分析であり、市場構造と経済成長に力点がおかれる。第1年度には、過去におこなわれた規制に関する経済分析についてのサーベイと購入したデーターから作成したデータベースを作成した。第2年度では理論研究と実証研究と、それらの論文作成をおこなった。今年度は、第2年度の分析をもとにしてさらなる理論研究および実証研究をおこなった。 理論研究では、寡占市場における企業の行動と社会厚生と規制に関しての研究で、特に参入規制との関係が強く分析されている。財を複数にしたために、企業による財の生産方法によって、企業の参入と経済厚生の関係を分析した。実証研究では、生産性と規制に関しての研究が行われて、どちらも論文として完成された。 したがって研究全体からは、順調な進展といえる。しかしながら、それらの研究は国際的な学術雑誌へ掲載されたものではなく、現在そうした論文への拡張をおこなっている。また研究成果としての論文数がもっと多くの数量である必要もあるため当初の計画以上に進展しているわけではない。 研究は、十分に計画的に行われており、最終年度も順調な進展を見せるように臨みたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、政府による規制と企業の経済活動、特に規制と市場における企業の行動と経済成長に関する分析ともいえる。来年度は、研究の最終年度であり、最終的な完成を目指す。 来年度は、理論研究と実証研究が行う予定であり、規制と市場構造について寡占市場の企業行動をもとに分析し、実証研究では、企業の生産関数をもとにして、生産性と規制に関しての研究がおこなう。 特に理論的な分析では、複数の市場が存在するときの、最適な政策について分析していきたい。企業数を2つの市場の間でどのように配分していくことが望ましいか、また最適な税制はどのようなものになるのかが分析目標である。 実証研究においては、分析手法の高度化を図りたい。第1に内生性に関してのコントロールアプローチに関して、最新の方法を試みたい。関数形をより柔軟な関数に拡張したい。次に研究開発を明示的に導入して、生産関数の拡張を図りたい。さらに生産関数によるアプローチだけでなく、費用関数にも拡張していく。第2には、エビデンスを正確に求めるため最近発展しているいわゆるDDアプローチを導入する。また傾向スコア等にも処理していくことになる。 以上のように今までの3年間の実績をもとにして最終年度は、世界的に発表できる研究を完成することを目標にしている。
|
Causes of Carryover |
今年度は、実証研究と理論研究をおこなった。理論研究では、非線形の最適化にもとづくシミュレーション用のソフト購入予定であったが、それを使用するための分析が、他の方法による分析となり、必要なくなったので、ソフトウェアの購入を行わなくなったことによる(本年度に購入を計画している)。第二にデータの入力等の補助作業を予定していたが、データベースの作成が大規模なデータベースでなく、小規模のデータベースで行えることがわかったため、いまのところ必要がなくなったからである。 理論研究と実証研究のいずれも国内、海外での研究発表を予定していたが、研究自体を完成することができたが、完成の時期が年度の終盤になってしまった。その結果発表をおこなうための締め切りの期限は過ぎてしまったので、発表することができなくなってしまった。したがって発表用の予算が必要なくなった。
|
Research Products
(4 results)