2017 Fiscal Year Research-status Report
出産と労働に関する不確実性が存在する下での最適なライフデザインモデルの構築と応用
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16K03660
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Research Institution | Takachiho University |
Principal Investigator |
迫 一光 高千穂大学, 人間科学部, 准教授 (30547360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀井 慶太 山形大学, 人文社会科学部, 講師 (60756526)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 経済政策 / 人口問題 / 出生行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は今後の研究についての道筋をつけた。これまで申請者は介護保険制度を中心に,世代間の所得移転の仕組みや社会保障制度維持のための世代ごとの望ましい費用負担の在り方などを考察してきた。これらの研究に従事する過程で出生を内生化し、世代ごとの利他性(上の世代、下の世代の双方の厚生に関心をもって自己の意思決定をする)をもつ効用関数の下で、世代間、世代内の利益が対立する状況が存在する中での様々な経済政策の分析が行える理論モデルを構築した。この社会保険に関する研究で得られた理論モデル(日本経済政策学会編『経済政策ジャーナル』第13巻に掲載される)に出産行動と労働に関する不確実性のある状況を組み込み、出生行動と労働に関する同時決定できるライフサイクルの基礎モデルを構築した。今後、基礎モデルにさまざまな政策諸変数を盛り込み、当初の研究目的である、ナイト流不確実性のある状況における出生行動を捉えることを完遂する予定である。出生に関しては、晩産化による妊娠可能性に関する不確実性(加齢による予期できない不妊)が出現し、雇用における不確実性の高まり(グローバル化による確率的に予期困難なリストラなど)によって従来の出生行動理論と異なる理論の展開が必要な状況が生じている。本研究は、この社会の変化を捉えるモデルの構築を目指す。少子化問題は、新たな不確実性の発生による出生行動と労働の両立困難から結婚や出産が先送りされ、結果的に家計の望む出生行動が行えないことから生じており、本研究成果によって問題解決の一助としたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度、校務等の時間調整がうまくいかず当初の予定通りに進まなかった研究を当初のエフォートに基づき投入する事で、予定の計画に近づきつつある。残りの遅れの部分についても可能な限りエフォートを投入し取り戻す予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎モデルを概ね完成させたので、今後は予定通り、不確実性を導入する事で新たな研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度の遅れのため、予定より支出する項目が少なくなった。平成30年度より執筆した論文のコメント及び修正点を得るため研究出張を行う予定である。このことにより当初の計画の支出がなされる。
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Research Products
(3 results)