2018 Fiscal Year Research-status Report
出産と労働に関する不確実性が存在する下での最適なライフデザインモデルの構築と応用
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16K03660
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Research Institution | Takachiho University |
Principal Investigator |
迫 一光 高千穂大学, 人間科学部, 准教授 (30547360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀井 慶太 西南学院大学, 経済学部, 准教授 (60756526)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マクロモデル / ワークライフバランス |
Outline of Annual Research Achievements |
本科研の研究テーマは「出生行動や労働に関する不確実性が存在する下で、出生行動と労働に関する意思決定がなされるライフデザインモデルの構築とその応用」である。本年度は家族介護と家庭内育児、労働時間と人口に関して内生化した分析を中心に研究発表をすることができた。 この論文により、家族内介護時間を増加させることが人口成長、つまり出生についてマイナスである暫定的な結論を導くことが出来た。出生行動あるいは介護については、市場で供給されている一般的なサービスでこれらの行為を家庭内から市場へと代替できる。この育児・介護サービスを利用する外部サービスと家族が時間を使って行う家族内育児・家族内介護のバランスがとることが困難な場合、問題が生じる。家庭内の育児・介護を中心に育児・介護がなされるのであれば、若年世代が労働時間を減らして育児・介護に従事することになる。しかしながら、労働時間を減らすことは希望する所得が得られないという状況を生み出し、希望するライフサイクルの達成が困難になる可能性が高まる。また、昨今の雇用形態の変動という不確実性の増大が出生行動と労働の関係をより複雑にしている。この不確実性が存在する下での出生(人口成長率)を内生化したライフデザインモデルを構築し、そのモデルに動学的比較優位を取り込むモデルを構築する。その後、出生と労働の両立に資する経済政策は何かを明示的に分析し、研究を完結させる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学の異動による準備および育児等で十分な時間を割くことが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度においては、これまでの理論研究に加えて、様々な分野における研究手法に基づいた研究にも挑戦することで問題の解決を図る。具体的に、2018年度において執筆中の理論研究に加えて、アンケート調査の手法に基づいて、中小企業における自己負担割合の変化が地域経済にどのような影響を与えるのかを考察する予定である。2つ目は、本モデル研究の結論を用いて出産支援策が家計の経済厚生に如何なる影響を及ぼすかなどに関するパラメータを用いたシミュレーションを行なう、数値計算を使った研究である。これにより理論研究の現実妥当性を確認する。この数値計算のためには実証的手法などに基づいたパラメータの設定が必要であるが、パラメータが現実のデータをもとにしているため、政策インプリケーションは非常に意味のあるものになると思われる。この研究も2019年度では引き続き進めて行く。 これらの研究は1人による単独研究では不可能なため、これまでと同様、引き続き、共同研究を積極的に進めて、分析を進めて行く予定である。
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Causes of Carryover |
平成30年度後半に所属の異動が生じることが確定したため、異動の準備等に追われ、何度か予定した出張が行えなかったため。
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Research Products
(3 results)