2017 Fiscal Year Research-status Report
Empirical and Theoretical Studies on Non-performing Loans and Housing Bubbles in Japan, the U.S., and China
Project/Area Number |
16K03764
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
万 軍民 福岡大学, 経済学部, 教授 (40423123)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | バブル / バブル・プレミアム / 過剰投資 / 不良債権 / 投機的貯蓄 / ビットコイン / 南海バブル / ソフトランディング |
Outline of Annual Research Achievements |
理論と実証の両面から研究を進めた。 理論面では、バブル発生の必要条件をバブル・プレミアムに突き止めることができた。この結果は、査読を経て平成29年11月3日に米国誌International Review of Economics and Financeにオンライン掲載された。また、無限期間の条件を外すことで、一時点内では安全資産金利がゼロとなり、この場合におけるバブル発生条件がバブル・プレミアムであることを発見した。関連結果は平成30年度日本経済学会春季大会において「Bubble Occurrence and Landing」というタイトルで報告される予定である。さらに、投機的動機及び流動性制約の程度によってもたらされる過剰・過小貯蓄は、投機的資金の供給・需要に当たり、その市場均衡をもたらす金利が存在することが発見され、今の米中不均衡問題に新たな視点を提供できた。この結果は平成29年12月16日に北京の清華大学で開催された国際会議で報告され、今はInternational Review of Economics and Financeによる査読中である。 実証面では、進行中の中国不動産バブルが建材関連の過剰投資をもたらし、銀行不良債権率上昇の主因であることを初めて発見し、関連結果は査読を経て平成30年3月6日に米国誌International Review of Economics and Financeにオンライン掲載された。また、1952-2018の日本株式市場バブル、1871-2017の米国株式市場バブル、2013-2018のビットコイン・バブル、1718-1722年の南海株バブルを統計的に検出した。さらに、「全国消費実態調査」というミクロ・データの申請と入手と整理等を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バブルの理論研究及び不良債権について、当初の計画よりは遥かに進めることができて、学術誌にも当初の想定より早く掲載された。これらの研究と論文改訂にあたって、当初の計画より多くの時間が取られたことにより、日本のミクロデータを用いて投機的貯蓄仮説の検証は理論研究ほど進まなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
理論面では、危険中立的な投資家がバブル・プレミアムを要求することで、バブルの成長率は安全資産の収益率より速くなることが発見された。日米中の株式市場では、株投資の配当率(イールドカーブ)が安全資産収益率より有意に低かったことが発見された。株投資のキャピタル・ゲインを考慮した収益率が安全資産収益率より異常に高いことは、リスク回避度の異常に高い投資家を想定しなければならないことは、エクティ・プレミアム・パズルであり、現代金融分野のコア課題の一つでもある。本研究は、リスク回避的な投資家を仮定せず、自ら提示したバブル・プレミアムを用いることで、エクティ・プレミアム・パズルの解釈につながることができた。今後はこの方向で研究を展開していく。 実証面では、ミクロ・データを用いて本研究で提示した関連理論仮説等の検証を行う。
|
Research Products
(18 results)