2018 Fiscal Year Annual Research Report
International Financial Centres and Their Impacts on Socio-Economy: Network, Complementarity, Transmission, and Cities
Project/Area Number |
16K03766
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅原 歩 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (10374886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 大介 山口大学, 経済学部, 教授 (50345857)
布田 功治 亜細亜大学, 経済学部, 講師 (70609370)
高橋 秀直 筑波大学, 人文社会系, 助教 (00633950)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 国際金融センター / 補完性 / ロンドン市場 / ニューヨーク市場 / 香港市場 / シンガポール市場 / 通貨約款 / ユーロダラー |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である本年度は、研究チームの各メンバーが積極的に内外での学会発表を行った。菅原は、フィンランド、イギリスで行われた国際学会で、1960年代の日本への国際的なドル貸付において、ニューヨークとロンドンの2大国際金融センターがいかに補完的な関係にあったかについての研究発表を行った。高橋は、金融学会歴史部会において、戦間期の債券市場の投資家保護について、日本国債の通貨約款の効果を取り上げた発表を行った。通貨約款は、返済を行う通貨をあらかじめ指定する条項である。通貨約款により、ロンドン市場において、ドルで返済可能な債権がポンド建てで発行されるようになった。これは、ロンドン市場とニューヨーク市場の競争と補完性の両者を同時に高めることになったという含意がある。布田は、金融学会歴史部会において、1990年代のアジア域内での国際金融センターとしてのシンガポールの重要性の高まりを、新たな指標を作成することによって明らかにする発表を行った。その指標とは、国際収支表の金融勘定を使用したものである。従来一般的に使用されていた対外資産・負債を使用した指標は、データの利用可能性により1990年代には適用できなかった。2018年夏には世界経済史会議で、本研究チームに加えて日英などの研究者による8報告と3コメントからなるセッションを行った。そこでは、上記の報告に基づいた菅原、高橋、布田の報告に加えて、1930年代の中国の通貨改革におけるロンドン市場とニューヨーク市場の関係、香港を事例とした2000年代の国際金融センターにおける独裁的政治の影響、1960年代・70年代のシンガポール市場における韓国企業のアジアダラー調達、1970年代・80年代の香港とシンガポールの制度間競争などに関する報告が行われた。これらにより、国際金融センター間関係についての新たな実証的成果を積み上げることができた。
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Research Products
(10 results)