2016 Fiscal Year Research-status Report
コンテンツビジネスのグローバル・シナジーに関する実証研究
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16K03844
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡田 美弥子 北海道大学, 経済学研究科, 准教授 (30333587)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コンテンツ / グローバル / 事業システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,グローバル・シナジーを生み出すコンテンツビジネスの事業システムを解明することである.具体的には,日本のコンテンツの中で国際競争力をもつマンガビジネス(作品を軸に連動するコミックとアニメ,キャラクター商品などの事業)を対象に,これらの事業間関係からどのようにグローバルなシナジーが生み出されるのかを明らかにすることである.研究期間の前半では(1)コンテンツの制作や流通のデジタル化に伴う事業システムの変革を解明し,後半では(2)進出国市場の多様性に適応しながら,国際間の事業間調整を行う事業システムが生み出すグローバル・シナジーのメカニズムを明らかにする予定である. 平成28年度は,サバティカル研修を利用して,国内外でのインタビュー調査を行った.また,これまでの研究成果を単著にまとめる作業を進めた. 国内外で行ったインタビュー調査の概要は,以下の通りである.国内では,コミックやアニメ,キャラクター商品を中心としたマンガビジネスについて,①事業領域の拡大,②電子書籍やアニメ制作におけるCG化など,制作の電子化に関する調査を行った.①では,遊興(パチンコやパチスロ)やアニメ関連の音楽(アニメソング)およびイベントなど,新しい事業領域で市場が拡大していること,アニメ事業を核とした「製作委員会」というビジネスシステムの機能に関する知見が得られた.②では,電子コミック市場が急速に成長している反面,アニメのCG制作は,作品の部分的な使用に留まっていることが明らかになった.この点については,引き続き調査を進めていきたい.海外では,香港における日本のマンガビジネスの現状や課題に関する調査を行った.香港市場では,正規版対海賊版という従来の構造から,現地生産の正規版対日本製の正規版の競争に変化していることが発見された. これまでの研究成果をまとめた単著は,平成29年5月に刊行される予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度に予定していなかった単著の執筆に時間を費やしたため,海外での調査が当初の予定より進まなかったが,国内での調査は順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
単著の執筆に時間を割いたため,平成28年度に実施できなかった海外での調査を進めたい.海外調査以外については,当初の計画通りに推進していくつもりである.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,単著の執筆に時間を費やしたことで平成28年度に実施できなかった海外調査を,平成29年度に延期したためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越した研究費は,平成29年度に実施する米国での調査に充当する予定である.
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