2020 Fiscal Year Research-status Report
労働紛争当事者の規範と内面的要請―整理解雇をめぐる裁判を中心に
Project/Area Number |
16K03923
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Research Institution | Kawaguchi Junior College |
Principal Investigator |
平澤 純子 川口短期大学, その他部局等, 教授 (50517224)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 労働紛争 / 整理解雇 / 規範 |
Outline of Annual Research Achievements |
資本主義経済において雇用調整を皆無にすることはできない。雇用調整の最も厳しい手段である整理解雇により職を失う人は毎年発止しており、整理解雇の妥当性をめぐる紛争が裁判に至れば、当事者はもちろん社会も大きな損失を被る。整理解雇を含む雇用調整は経営の意思決定でなされるが、当事者や社会の損失を最小限に抑えるために整理解雇をどのように行うべきなのか、紛争になった場合に何をなすべきなのか。こうした基本的な問いにさえ、経営学が正面から深く考察することはこれまでほとんどなかった。紛争はできれば早期に、規模の小さいうちに終結させることが望ましいと考えるのが一般的である。こうした考えを「一般的合理性」と言うならば、裁判経験のある紛争事例では、この一般的合理性からかけ離れた言動、意思決定が紛争当事者双方に散見される。なぜ、紛争を長期化させ、大規模なものとするのか。 本研究は、整理解雇をめぐる紛争当事者の(1)試行錯誤して繰り広げる営為の中に内在する規範を究明し、その合理性を検討すること、(2)紛争処理をめぐる内面的要請を浮き彫りにすることを目的とした研究である。 研究成果は単行本として発表するべく、原稿のドラフトは完成させてある。しかし、発行に時間を要している。本研究は、その成果を国内外に還元させるべきものとして着手し、研究成果は本研究に助言を与えてくれたアジア諸国の研究者との議論を経て出すこととなっている。このアジア諸国の研究者との議論の場が新型コロナウイルス感染拡大のために設けることができなくなってしまったからである。新型コロナウイルスの感染拡大は本研究の発表に遅れをもたらした。しかし、同時に本研究の必要性を大きなものにした。 もともと本研究はこの研究の期間を超えた長期的目標の下に進めており、本研究の成果を踏まえた次の問題の解明を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究成果のとりまとめとなる単行本の原稿のドラフトは完成している。本研究の成果を踏まえた次の研究課題にも着手している。しかし、出版が遅れている以上遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で残された作業は研究成果をまとめた単行本の発行である。発行の要件となるアジア諸国の研究者との議論をオンラインでできるよう交渉を進めている。
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Causes of Carryover |
研究成果をとりまとめた単行本の原稿のドラフトは完成している。しかしながら、次の理由で発表が遅れている。本研究はその成果を国内外に問うことを前提に進めてきた。研究成果の発表は本研究に大きな助言を与えてくれたインド、ネパール等、国外研究者との議論を経て発表することになっている。新型コロナウイルスの感染拡大で、渡航できなくなり国外研究者との議論の場が途絶えてしまった。現在オンラインでの議論を提案して交渉を進めており、国外研究者との議論ができ次第、発表のため執行させていただく予定である。
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Research Products
(1 results)