2017 Fiscal Year Research-status Report
精神障がいのある親と暮らす子どもへの「チーム学校」を基盤とした支援モデルの開発
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16K04149
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
長沼 葉月 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (90423821)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヤングケアラ― / 精神保健福祉 / 家族支援 / 児童福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は埼玉県の小中学校の養護教諭を対象に行った質問紙調査の結果の分析を行った。精神障害のある親と暮らす児童生徒推計数は、各学校あたり平均で5人程度であったが、40人近くを挙げる学校もあった。総児童生徒数に対する割合では、1.5%ほどであった。「0人」という学校が12.4%に達する一方で、40人以上を挙げる学校もあった。 学校種別による違いは見られなかったが、人数は学校規模が大きい程多かった。しかし生徒総数に対する比率では小規模校で高かった。養護教諭の経験年数や当該校勤務年数による差は見られなかった。小規模校の方が、児童生徒の家庭状況も含めて養護教諭が情報を詳しく把握しやすいと考えられた。 752件の事例に基づく分析からは、親の診断では、母親同居の場合のうつ(31.8%)が最多で、次いで躁うつ病3(13.1%)、統合失調症(9.0%)と続いた。父親同居の場合にはうつ病(6.4%)や依存症(4.8%)も高かった。児童生徒の支援課題は遅刻や欠席の多さが最多であったが、友人とのトラブル、身体的愁訴の多さに加え、不十分な食事や場にそぐわない服装等不適切な養育を示唆する課題も1~2割見られた。家族の支援課題ではひとり親が4割近くに達したほか、経済的困窮や学校からの連絡が取りづらいことが多かった。連携機関では市町村の子ども支援担当課、教育相談機関が約3割に達していた。次いで児童相談所や医療機関が続いた。障がい福祉サービス事業所との連携は1.9%にとどまった。子どもを通して家庭の支援課題が把握されており、関係機関の連携も行われていたものの、障害福祉サービス事業所との連携が乏しい等、生活面での支援が十分に行き届いていない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
半年間の育児休業を挟んだこと、およびその後も児の保育園入所ができず、一時保育を利用しての分析を細々と続けるのに精いっぱいであったため、結果に基づくリーフレット作成や、本来予定していた8月中のワークショップ及び参加者調査の分析までは行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の実施年度を延長し、2018年度にワークショップを実施し、2019年度に最終的な取りまとめを行う予定である。
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Causes of Carryover |
半年間に渡り育児休業を取得したこと、およびその後も児の保育所入所が出来ず、限られた一時保育時間で分析を進めることしかできなかったため、予定通り研究計画を遂行できなかったため。次年度以降に延長して使用する予定である。
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