2018 Fiscal Year Research-status Report
精神障がいのある親と暮らす子どもへの「チーム学校」を基盤とした支援モデルの開発
Project/Area Number |
16K04149
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
長沼 葉月 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (90423821)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヤングケアラー / 精神保健福祉 / 家族支援 / 子ども福祉 / チーム学校 / ソーシャルワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、精神疾患のある親と暮らす学齢期の子どもに対して、学校を拠点とした支援の在り方についてモデルを提示することを目的としており、初年度は養護教諭を対象とした調査を実施した。その後研究代表者の産休・育休による研究計画の遅延があったが、平成30年度には当初の予定通り、調査研究の成果を踏まえて養護教諭やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを対象としたワークショップを実施した。ワークショップには約70人の学校関係者が参加した。 ワークショップのプログラムでは、調査結果や研究協力者の助力を得て、子どもや家族の生活実態を報告するとともに、学校で提供しうる支援のバリエーションの提示、利用できる可能性のある社会福祉サービスの情報提供、多機関連携を促進するための事例検討会の方法などを提示したのに加え、子どもや家族の気持ちを中心に置いた支援を考えるための絵本を使ったロールプレイやグループワークを組み込んだ。 ワークショップの参加者に対して終了後に満足度アンケートを行った他、1学期を経たのちに追加調査を行った。追加調査には27名の回答を得た。ワークショップのプログラム内容についてはいずれも1学期後に振り返った結果としても「役立った」「大変役立った」と評価されていた。実際の活用例としては「校内研修で教職員に伝達し、絵本を使って説明する等理解を深めてもらった」「ケース会議の中で『適切なその場しのぎ』の発想を伝えることができた」「関連機関との情報共有に役立ち、視野が広がった」等の回答が得られた。 特に多機関連携のための事例検討会への関心が高く、個別の事例への対応を話し合う場をどう構築していくかについて、今後さらに検討が必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
途中研究代表者の産休・育休に伴い1年間ほど調査分析以上の作業ができなかったが、修正後の予定通りワークショップの実施とその効果評価にこぎつけたこと、およびこれまでの研究成果について国内の複数の学会で報告することができたので、順調に進めることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度には再び研究代表者が産休・育休を取得予定であるため、半年間程研究作業は中断予定である。その後、ワークショップ参加者に対する1学期後追跡調査の結果の分析も踏まえた研究成果の報告及び論文投稿を行う予定である。
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Causes of Carryover |
ワークショップ効果評価研究の一環である1学期後調査の実施が2019年2月までかかったため、十分な分析がまだ行えていない。この結果について、当該年度中に最終的な取りまとめを行い、学会等で報告・論文投稿を行う予定である。
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Remarks |
研究協力団体のぷるすあるはの支援により、精神疾患を抱える親と暮らす子ども向けの情報サイトの一角に研究成果を公表するページを作成している
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