2017 Fiscal Year Research-status Report
知的障害者の悲嘆反応と生活再建に向けた「アドバンス・ケアプランニング]導入の検討
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16K04197
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
佐藤 繭美 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (90407057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 ちゆき 法政大学, 現代福祉学部, 助教 (90773010)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ソーシャルワーク / 事前指示書 / 知的障害 / ソーシャルワーカー / アドバンスケアプランニング / 死別ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東日本大震災等において親を亡くした知的障害者の悲嘆反応に着目し、特徴的な悲嘆について整理していくとともに、突然に親を亡くした知的障害者の生活再建をいかにして行うべきかを検証していくことを目指している。特に生活再建には、ソーシャルワーカーのコーディネート力が重視されると思われ、相談支援の強化が目指されている障害福祉分野に欠かすことのできない視点を醸成できるのではないかと期待している。 今年度は、障害領域におけるアドバンス・ケアプランニングの実現可能性を検討してきた。まず、アドバンス・ケアプランニングに関する諸外国の文献検討を実施した。さらに、アドバンス・ケアプランニングのあり方と共通している我が国の成年後見制度の支援のあり方について検討を加えてきた。また、知的障害のお子さんを持つ親御さんたちへの成年後見に関するレクチャーの開催と、「親なきあと」への準備に向けたグループワークを実施した。「子どもとの思い出に残っていること」「楽しい思い出」 について語り、記述し合うことで、これまで子どもの障害特性から「苦しいこと」「大変なこと」に着目することが多い現状が認識された。しかし、親が楽しいことを他者と共有することで、未来を描きやすいことがうかがえたため、「親なきあと」のことを強調するのみでなく、「親との思い出」からアドバンス・ケアプランニングの構成要素を検討する方向で調整している。さらに、家族から孤立状況(すでに死別を経験している人達を含む)にある知的障害者への支援を行っている都市部での独自支援にも着目し、アンケート調査を実施しているところである。その調査結果も踏まえ、アドバンス・ケアプランニングの構成要素を検証し、専門職、家族、そして当事者にとって最も効果的なアドバンス・ケアプランニングのあり方を検証していくこととする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フィールド調査を実施したり、講演会等において知的障害者の家族向けにアドバンス・ケアプランニングの可能性や具体的方策などの小規模なアンケート調査、レクチャーを実施し、その結果をもとに成年後見制度との整合性などを検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、規模を拡大して、「親なきあと」にむけたアドバンス・ケアプランニングの適用可能性について、調査を実施したいと考えている。
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Causes of Carryover |
(理由)想定していたアンケート調査が、対象者の都合で実施できなくなるなどの課題が生じたため、想定していた支出が困難であった。 (使用計画)今年度は対象者とのコミュニケーションをスムーズに行うことで調査の中止に至らないようにすることと、調査対象者の予備的な確保まで視野に入れて展開を図り、謝金や調査集計で予算が消化できるよう努めていく。
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