• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2017 Fiscal Year Research-status Report

金融包摂による生活困窮からの脱却可能性

Research Project

Project/Area Number 16K04200
Research InstitutionMeiji University

Principal Investigator

小関 隆志  明治大学, 経営学部, 専任准教授 (20339568)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 佐藤 順子  佛教大学, 福祉教育開発センター, 講師 (80329995)
Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords金融排除 / 金融包摂 / 社会的排除 / 貧困 / 生活困窮者 / ファイナンシャル・ダイアリー / 家計調査
Outline of Annual Research Achievements

平成29年度は、前年度に開始したファイナンシャル・ダイアリー調査を継続した。前年度に始まった、1年間にわたる第1期の調査は9月に無事終了を迎えることができた。同年10月には難民起業サポートファンドと自立生活サポート・もやいの協力を得て、第2期の調査を開始した。
他方、新たに金融排除に関するインタビュー調査を実施した。生活サポート基金、社会的包摂支援センター、VAICコミュニティケア研究所、京都ソーシャルサービス協会など、多様な支援団体からの協力を得て、東京・千葉と京都にて計50名にインタビュー調査を行うことができた。特にインタビュー調査は、ファイナンシャル・ダイアリー調査ではアプローチし得なかった多様な人々を対象として、金融排除の実態に光を当てることとなった。
年度末の3月には、研究代表者・研究分担者・連携研究者による中間報告会を開き、1年間にわたる調査の進捗状況を確認するとともに、ファイナンシャル・ダイアリー調査およびインタビュー調査の集計結果を分析した。また、最終年度となる次年度の研究計画を立てた。
ファイナンシャル・ダイアリー調査では、主に生活保護受給世帯を対象として年間にわたる家計収支を追跡した。調査対象世帯については、家計管理能力の欠如、ギャンブルなどの中毒の例、生活保護受給に伴う貯蓄不可などの制約を受ける例などが観察された。
他方、インタビュー調査では、生活保護受給世帯のほか、ひとり親世帯、DV被害者、非正規労働者、移住労働者、多重債務者、障がい者、路上生活者など多様な人々を対象とした。それぞれ、異なる金融排除の課題を抱えているが、家計収支がひっ迫して生活困窮に陥った経験を持つ人が多いこと、総じて預貯金が少なく、家計のゆとりがないため、何らかのアクシデントがあると再び困窮に陥る恐れが大きいことが明らかとなった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2016年度末に計画したインタビュー調査を、ほぼ計画通りに東京・千葉と京都の各地区で遂行することができた。家計に関する調査はプライバシーに深く踏み込むため、調査に参加する支援団体や調査対象者の確保に至るまでのプロセスは必ずしも容易なものではなかったが、いったん調査が始まった後は、支援団体の担当者や調査員の尽力により、途中でドロップアウトする調査対象者もなく、さしたるトラブルがなく現在に至るまで順調に調査を続けることができている。
2016年度末の計画では、札幌地区でも調査を行うことを視野に入れていたが、札幌在住の連携研究者の都合がつかなかったため、別の機会に行うこととした。

Strategy for Future Research Activity

2018年度は、前年度に開始した第2期のファイナンシャル・ダイアリー調査を継続する(10月に終了予定)。
あわせて、前年度と同様のインタビュー調査を愛知県内で実施する予定である。この調査は連携研究者が主導し、愛知県社会福祉士会や支援団体の協力を得て行うものである。
上記の調査に加えて、各種の支援団体や金融機関を訪問し、金融排除問題の存在について取材を行う。
年度の後半には、これまでの調査結果をまとめて学会での報告を行う。9月には社会政策学会大会にて、主にファイナンシャル・ダイアリー調査の分析結果を報告する。また12月には貧困研究会大会にて、主にインタビュー調査の分析結果を報告する予定である。
さらに、学会報告を踏まえ、日本における金融排除に関する書籍化を進める。

Causes of Carryover

次年度使用額が生じた理由は、当初計画よりも調査員への謝金が増えたこと、また当初計画になかった訪問調査を実施したためである。調査員への謝金が増えた理由は、当初計画よりも調査員の数が増えて、研修会の参加謝金がかさんだこと、また当初予定にはなかった交通費を加算して支払うようになったことが挙げられる。訪問調査とは、多重債務者の支援団体やDV被害者支援団体、弁護士などの専門家を訪問して聞き取りを行ったものである。
ファイナンシャル・ダイアリー調査は年間を通じて対象者に調査を続け、調査員と対象者に継続して謝金を支払う必要があるため、予算残額だけでは不足が生じ、次年度使用額が生じることとなった。
ファイナンシャル・ダイアリー調査の調査員と対象者に支払う謝金を試算すると、減額した次年度の交付予定額で充分賄えることが判明した。当初予定していた補足的な取材の数を調整することにより、交付予定額の範囲内で本研究を実施する計画である。

URL: 

Published: 2018-12-17  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi