2017 Fiscal Year Research-status Report
デジタル図書によるトランスナショナルな外国人児童学習支援ネットワーク構築の研 究
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16K04218
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小澤 亘 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (30268148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清田 淳子 立命館大学, 文学部, 教授 (30401582)
金森 裕治 大阪教育大学, 教育学部, 特任教授 (30362742)
楠 敬太 大阪大学, キャンパスライフ支援センター, 特任研究員(常勤) (70770296)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ICT学習支援 / 外国にルーツを持つ児童 / 読み困難度のアセスメント / 自尊感情測定 / 視線追尾検査 / 多言語デジタル図書 / DAISY |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度末に実施したアイトラッカーを用いた視線追尾検査の結果データ分析を行い、外国人児童(14名)、読み困難日本人児童(18名)、一般日本人児童(21名)の3グループ間で、読み困難度を比較解析した。これに基づき、学会報告を行った他、共同論文を制作。本年度末には、視線追尾検査に加えて、STRAW、ATLAN、DEM、レーブン色彩マトリックス、自尊心検査などを実施した。縦書きと横書きの読み困難度の比較検証も組み込み、外国人児童(21名)に対して検査実施を試みた。 大阪市立小学校2校、京都市立小学校1校において、外国人児童7名に対して、週1で、放課後にICTをツールとした学習支援活動を継続実施した。 2017年12月には、サンパウロ大学森幸一教授を立命館大学に招き、ブラジルとパラグアイの日系学校における日本語教育の歴史と現状に関する研究報告会を開催した。2018年3月18日~24日には、小澤と楠がサンパウロ大学を訪問し、DAISY制作ソフト(PLEXTALK producer)ワークショップを2日間にわたって実施した(参加者18名)。また、この際に、森教授、文学部東洋語学科副学科長ハシモトリカ教授、日本文化研究センター長キクチワタル教授らと、DAISYツールを活用した支援ネットワーク構築に関して、打ち合わせ会議を持ち、今回、サンパウロ大学で立ち上げられたDAISYプロジェクト(上記本科研・研究協力者3名と学生8名)とトランスナショナルな支援ネットワーク構築を目指し、DAISY活用の在り方について研究を継続していくことになった。また、大志万学園、アルモニア学園では、学校責任者・日本語教員と打ち合わせを実施し、これら2校の情報インフラ(DAISY再生ソフトおよび多言語DAISY図書の提供)を整え、今後、これら2校の日本語教育において、DAISY図書活用の方策を探ることになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)外国人児童の読み困難度の解析については、視線追尾検査(昨年度実施)に加えて、STRAW、ATLAN、DEM、レーブン色彩マトリックス、自尊心検査などについて、実施ができている。昨年度の支援追尾検査データに基づき、外国人児童(14名)、読み困難日本人児童(18名)、一般日本人児童(21名)の3グループ間で、読み困難度を比較解析できている。 2)ブラジルとのネットワーク形成については、サンパウロ大学に、DAISYプロジェクトが立ち上がり、トランスナショナルな支援ネットワーク構築を目指し、DAISY活用の在り方について研究を継続していけることになった。また、具体的な研究フィールドとして、大志万学園、アルモニア学園との連携が開始できた。 3)大阪市立小学校2校、京都市立小学校1校において、外国人児童7名に対して、週1回で、放課後にICTをツールとした学習支援活動を継続実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度末に実施した視線追尾検査、STRAW検査、ATLAN検査、DEM検査、レーブン色彩マトリックス検査、自尊心検査の調査データについて、総合的に解析を進め、小学校現場・支援対象者にフィードバックする。これに加えて、信州大学工学部香山教授を研究協力者として連携し、音声データ分析の角度から、外国人児童、読み困難日本人児童、一般日本人児童の3グループ間の比較分析を試みる。こうした知見に基づき、学会報告、論文制作を進める。また、こうした検査は、今年度も継続実施を追求する。 今年度の適当な時期に、小澤と楠がサンパウロを再度訪問し、共同研究者との連携研究を進展させる。その際、大志万学園、アルモニア学園におけるDAISY利用の現状と課題について聞き取り調査を実施する。このようなトランスナショナルな支援ネットワークが、日本における日系ブラジル人生徒に対しても、有意義なことを滋賀県をフィールドとして、検証する。 日本国内の外国人児童に対するICT学習支援においては、DAISY図書による読み支援に加えて、母語を活用した読解ワークシートや単元テストのデジタル音声化による支援を試み、その成果を検証する。
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Causes of Carryover |
2018年3月17日から26日に、2名が出張した海外出張費の一部の精算が今年度に回ったため、上記の次年度使用額が発生した。一部共同研究者で、未使用金額(謝礼等の予算)があるが、これについては、今年度にすべて使用する予定である。
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Research Products
(2 results)