2019 Fiscal Year Research-status Report
リアルタイム生理指標モニタリングを用いた新たな家族療法開発の試み
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16K04350
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
村松 朋子 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 准教授 (20633118)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 家族療法 / 生理指標モニタリング / アセスメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、従来のアセスメントデータに加えて、IP(患者とされる者、症状を呈しているもの)に、心拍や皮膚コンダクタンスなどの生理指標モニタリングを行い、その生理指標データを取得している。家族療法中に、多くのクライエントは家族内の葛藤を治療者や家族の前で語ることを避ける傾向にある。家族療法中に、IP(患者とされる者、症状を呈している者)の生理指標測定を行い、これを家族療法に組み込むことで、IPが葛藤に気づくだけでなく、それを言語化することを導いた。具体的には、IPの両親がディスカッションしている間、IPは心拍や皮膚コンダクタンスの測定を行った。IPや家族が意識しなかった局面で、心拍変動や皮膚コンダクタンスの変動が認められ、なぜ体がそのように反応するのかを家族全員でディスカッションすることで、IPやその家族の中に新しい気づきが促された。多くの心理療法では、この気づきと言語化のプロセスに到達するまでに、多大な時間を要することが多い。標準化された心理テストの客観的データを家族療法の中に取り入れた群でも治療の進展は認められたが、特に子どもが年少の場合は、心理テストだけでなく、生理指標も加えた数値化された客観的なデータを用いることで、心理療法にかかる時間の短縮化につながることが示された。 そして、目標例数には到達していないが、すべての症例における実施後の評価は家族の構成員全員から高いものが得られた。 また、IPだけでなく、家族全員の表情や態度などのビデオ解析を行い、どのデータやどのような介入がIPの言語化を促している要因となっているのかを検討している。 今後、さらにプロセス分析を進め、データのフィードバックからIPと家族に変化を導くためのさらに精度の高い手法の開発につなげていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標例数には到達していないが、取得されたデータの結果は、本介入方法の将来性を示すものとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
蓄積されたデータや結果について、学会での発表及び論文にまとめ、その成果を広く公表する。 今後は、海外の研究者とも協力し、文化差を加味して本介入方法が有効であるかを検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
3月に予定していた国際学会での研究発表と研究打ち合わせが、新型コロナウィルスの影響で開催されなかったため、その分、次年度使用が生じた。 翌年度には本課題の成果を発展的に進めていくため、海外の研究者と打ち合わせをするために使用する。また、積極的に国際的なジャーナルへの投稿を行うために使用する予定である。
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