2020 Fiscal Year Research-status Report
リアルタイム生理指標モニタリングを用いた新たな家族療法開発の試み
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16K04350
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
村松 朋子 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 准教授 (20633118)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 心理アセスメント / 家族療法 / バイオフィードバック |
Outline of Annual Research Achievements |
Wai-Yung Lee ら(2010)は、子どもの生理反応と親の葛藤の特性との相互関係について調べ、治療的変化を起こすためにそのような情報を家族で共有する方法を開発した。このバイオフィードバックを用いた家族療法では、葛藤含みの話し合いと振り返りセッションからなるプロトコルが両親の葛藤を解決へ向かわせる強力なツールになることが明らかになった。 本課題では、このツールに標準的な心理学的アセスメントを取り入れた方法を用いて子どもだけでなく、成人患者にも対象を広げてその効果について明らかにすることが目的である。 対象は、摂食障害だけでなく、適応障害、自閉性障害、社交不安障害、不登校など、言語表出、感情表出の乏しい患者に広げてリクルートを行った。家族アセスメントは、アセスメントセッション、振り返りのセッション、家族同合同セッションの順に行われた。全ての対象者のアセスメントセッションにおいて、心拍、皮膚コンダクタンスともに平常時と比べて2標準偏差以上の差が認めれた。家族機能評価は、家族によりその内容の変化は異なり、一定の見解は得られなかったが、多くの家族において、回避してきた葛藤について、家族を巻き込み活性化することに成功した。 バイオフィードバックの手法が心理学的なアセスメントプロセスに対して、説得力のある根拠として家族と一緒に共有され、短期間で問題の核心に取り組むことを可能とした、と結論づけた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響により、研究協力者と会してデータ解析、分析する時間を取ることが難しくなった。また、同じ理由により、研究対象者のフォローアップセッションに参集してもらうことが困難となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
データ解析について、簡単に行き来が可能な近隣の研究協力者に協力を仰ぐことになっている。 解析を終え次第、随時成果発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、データ解析が遅れたため、成果発表を行うことができなかった。したがって、論文校閲費や論文投稿費などの支出がなく、次年度使用が生じた。 次年度は、本研究課題の成果発表に使用する予定である。
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