2018 Fiscal Year Research-status Report
放射線災害下において母親の自己判断効力感を高める心理学的要因についての調査研究
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16K04377
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Research Institution | Saitama Gakuen University |
Principal Investigator |
佐々木 美恵 埼玉学園大学, 人間学部, 准教授 (50458238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 あや 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00347212)
石井 佳世子 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 助手 (40336475)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 福島第一原子力発電所事故 / 母親 / 精神的健康 / 東日本大震災 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は,量的調査(第Ⅳ段階)を継続的に進めた。2018年2-4月に,福島県中通り地方A市ならびにB市内の幼稚園,保育所,こども園,および小児科クリニックに調査協力を依頼し,計11施設の協力を得た。調査対象者は,調査時に各市に居住しており,2011年度に出生あるいは1-6歳になった未就学の乳幼児を育ててきた母親であった。487名(小児科クリニック199名,保育所・幼稚園288名)の母親に配布し,415名から回答を得た。発災時の居住地が調査時点と同じ市であった者を分析対象者として,323名の回答を有効とした。 第Ⅴ段階として,量的調査の分析,解釈を行った。データ整理・入力のために,誓約書を得たうえで,研究補助員(埼玉学園大学大学院生4名)を雇用した。統計解析の結果解釈は,代表者,分担者 2 名を中心として,臨床心理学ならびに社会心理学を専門とする研究者2名の指導・助言を受けて実施した。結果,子どもへの健康影響の不安,放射線問題をめぐる認識・対応の周囲との相違,および放射線問題についての自律的判断は,発災後初期(発災後1-2年,想起による回答)と比べて調査時点(7年時点)では有意に低下していた。また,発災後初期から7年時点まで母親の自律的判断を高く維持していた要因として,放射線問題についての専門的情報の積極入手,および夫サポートが示された。さらに,7年時点での母親の抑うつに関連する要因についての分析から,夫サポートが抑うつを抑制し,子どもの育て方への不安感ならびに放射線問題をめぐる認識・対応の周囲との相違が抑うつを高めることが示された。 平成30年度末には,第Ⅵ段階である結果フィードバックおよび成果公表へと作業を進めた。研究成果について,日本発達心理学会第30回大会(早稲田大学戸山キャンパス)にて学会発表を行った。さらに,協力施設への結果フィードバックの作業を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度は,量的調査実施(第Ⅳ段階),量的調査の分析および解釈(第Ⅴ段階),結果フィードバックおよび成果公表(第Ⅵ段階)へと作業を進めた。本研究の中心的作業は有意義な結果を得て,順調に進展した。しかし,第Ⅵ段階の結果フィードバックならびに成果公表(論文執筆,幼稚園教諭・保育士・助産師・保健師等の関係専門職向けの成果公表等)の一部は平成31年度に持ち越した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は,最終段階である結果フィードバックならびに成果公表を確実に進める。投稿論文を執筆し,学術的に公表するとともに,幼稚園教諭・保育士・助産師・保健師等の関係専門職に研究結果の報告を得る機会を設け,研究者および支援者の双方が理解を深め,支援実践を検討する機会を得ることとする。
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Causes of Carryover |
主に投稿論文の英文チェックに要する費用を次年度に繰り越している。平成31年度の作業進行において支出する予定である。
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Research Products
(1 results)