2016 Fiscal Year Research-status Report
学童保育児童への心理的支援の検討:心理アセスメントの活用を中心に
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16K04379
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
佐々木 裕子 聖徳大学, 心理・福祉学部, 准教授 (40284450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 俊樹 放送大学, 教養学部, 教授 (60091857)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 心理アセスメント / 学童保育 / 円環家族関係イメージ画 / 風景構成法 / 児童理解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は,「放課後児童クラブ(学童保育)」において,心理アセスメントを活かした児童の心理的支援の拡充を図ることである。そのために,研究1では,放課後児童支援員と心理職の連携による心理支援の在り方を提案し,研究2では,多様なニーズをもつ児童の心理支援に役立つ心理アセスメント方略の開発を行う。 平成28年度の研究1の計画は,既に収集していた児童の心理アセスメントデータを児童支援員と共有することで,児童理解が深まったかを調査することであった。そこで,児童理解カンファレンスを開催し,カンファレンスが児童理解に役立ったか調査を行った。参加者全員が役立つと回答していたが,参加できた支援員の数が少なかった(7名)ため,継続的なカンファレンスの開催により,アンケート数を蓄積していく必要がある。 研究2では,児童の心理アセスメントデータについて検討した(心理臨床学会等3つの学会で研究報告済み)。その結果,当初の計画に追加して,児童への実施のしやすさについての検討が必要と考えられた。そこで,描画法について集団実施による研究を行った。 「家族イメージ画」に関しては,マルで家族を象徴的に描く「円環家族関係イメージ画描画法」(2~5年生32名,有効アンケート27名)と,マルの形をした色紙を貼付する「円環家族関係イメージ画スティック法」(1~5年34名,有効アンケート32名)を実施した。その結果,どちらにおいても類似したイメージ画が作成されることが明らかになったが,方法によってどのようなイメージ画になりやすいかが異なる結果となった。今後,表現された家族イメージ画がどのような家族関係を象徴しているのかについて,詳しく検討していく必要がある。「風景構成法」については,集団実施の際に問題となる「枠づけ法」について,枠あり群と枠なし群による検討を行った。現在,結果の整理を行っている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は,当初研究1で計画していた支援員と心理職のカンファレンスを3回実施し,アンケートによる理解度の深まりについて捉えることができた。しかしながら,支援員による児童理解や支援方針についての理解がどの程度深まったかについては,十分なデータを収集することができなかった。ただし,カンファレンスを実施することで,カンファレンスの在り方や,支援員が求めている児童理解や支援方針に関するニーズを把握することができたため,今後のカンファレンス企画がよりスムースになると考えられる。 研究2に関しては,心理アセスメント方略に関する知見について研究報告をまとめ,今後の児童理解に関する指標をいくつか提案することができた。さらに,児童を対象とした心理アセスメント方略の開発のために,本年度では計画していなかった,心理アセスメント方略についての集団実施法による基礎的データを収集することができた。 よって,研究の進捗状況としては,ほぼ順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究1の支援員と心理職の連携に関しては,カンファレンスに参加できる支援員の数が限られていることが明らかなため,今後,十分なデータを収集するために,協力団体を増やしていくことが必要と考えている。そのため,放課後児童クラブだけでなく,保育園等様々な児童支援現場との連携を検討する予定である。 研究2では,当初計画していた個別での心理アセスメント方略の開発だけでなく,集団実施による予備的な心理アセスメント方略についても検討していく予定である。その上で,個別による心理アセスメントデータの蓄積をさらに進め,継続的な心理支援となっていけるよう検討する予定である。
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Causes of Carryover |
学会参加費用が,予定していたほどの使用とならなかったこと,今年度は会議室使用や,研究協力者への旅費等について出費が必要なかったことが理由と考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度にパリで行われる国際学会での発表を予定しているため,その渡航費として使用する計画である。
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