2019 Fiscal Year Research-status Report
学童保育児童への心理的支援の検討:心理アセスメントの活用を中心に
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16K04379
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
佐々木 裕子 聖徳大学, 心理・福祉学部, 教授 (40284450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 俊樹 放送大学, 教養学部, 客員教授 (60091857)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 心理アセスメント / 風景構成法 / 家族関係イメージ画 / ハンドテスト / 学童保育 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は,研究1「児童指導員と心理職の連携の在り方の提案」の実施の仕方についての検討と,研究2「児童支援に役立つ心理アセスメント方略の開発」のこれまでの研究結果をまとめ,実施法の改善計画の立案を行った。 研究1での児童指導員と心理職の連携については,研究実施のフローチャートの作成と,児童指導員による気になる児童についての「児童支援チェックシート」を作成し,児童指導員による気になる児童に対する“気づき”行動チェックができるようにした。これにより児童指導員によって気になる児童をピックアップでき,それに基づいて保護者と本人に研究協力を要請し,研究2での心理アセスメントの実施につなげることを計画した。 研究2では,これまでの基礎研究をもとに,児童支援心理アセスメント方略については,①ハンドテスト,②風景構成法,③円環家族関係イメージ画とすることが計画修正された。当初,円環家族関係イメージ画は,母子関係イメージ画として,母子関係に絞って実施する計画となっており,既にデータを収集していたが,この方法では児童には実施が難しく,また,児童の家族関係を全体で捉えることで,その児童の家庭での心理的居場所を捉えることが,学童保育における児童支援においてはより重要であることが考えられたため,家族関係に修正することとした。また,児童にとって親しみやすい実施方法が見いだされたことから,円環家族関係イメージ画スティック法を採用することとした。 さらに,研究1において児童指導員と心理職が連携して児童支援をしていくためには,保護者による支援の要望も十分に把握する必要があることから,保護者へのフィードバック面接の実施についても新たに研究に追加することとした。こうした新たな研究計画について児童指導員と話し合いが行われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究1の児童指導員と心理職の連携については,昨年度までに完成した児童理解マトリックス(①児童理解サマリー,②児童理解チェックシート,③児童支援チャート)に基づいて,児童指導員との事例検討を実施する計画であったが,研究2での新たな事例収集が進んでいないことが理由で未着手の状態である。 研究2については,児童支援に役立つ心理アセスメント方略について,風景構成法及び,円環家族関係イメージ画の実施方法と解釈視点についての実証研究データが集められ,児童支援に必要な情報を収集するためのアセスメント方略は決定したが,昨年度より計画していた学童保育児童を対象とした事例データの蓄積が進んでいない状態である。これは,新しい研究計画にて調査研究を実施する必要があり,研究計画の立案が遅れたことが原因である。研究計画については,聖徳大学ヒューマンスタディに関する倫理委員会での審査申請を提出しており,現在,申請結果が未着のため研究に着手できない状態となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
倫理委員会からの承認が得られ次第,事例データの収集に着手したいと考えている。しかしながら,現在の新型コロナウィルス感染拡大の状況から,事例データの収集が遅れる可能性,もしくは,対面による個別事例収集そのものの実施ができない可能性が予測される。 そのため,まず学校教育が再開され,学童保育事業が平常運営に戻った段階で,研究協力者の募集を呼び掛け,その際に今回の長期間の自宅待機による児童の影響にも配慮した調査研究となるよう,アセスメント内容を拡大して実施できるように修正することを計画する。その中で,今回のコロナショックによる児童への心理的影響についての情報収集ができることも検討していく予定である。 次に,個別事例収集の実施そのものが難しくなった場合は,研究計画を大幅に変更し,調査用紙の配布によって児童の心理アセスメントのデータ収集を検討する。その際,本研究での心理アセスメント方略を活かし,ハンドテスト,円環家族関係イメージ画など,調査形態でも実施可能なものを採用するなど,本研究の一環性を維持した形となることを目指す予定である。さらに,コロナショックによる児童への心理的影響についての情報収集ができることも検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は,倫理審査を通過するために研究内容の見直しが必要となり,研究計画の立案と打ち合わせ,研究情報収集による学会出席のみであった。そのため,研究費使用が計画通り進んでおらず,予定していた事例研究実施による研究費使用は次年度に行う予定である。 次年度は,事例データを収集し,児童理解マトリクスを完成し,児童支援員と心理職の連携を行うことを予定している。さらに,次年度は最終年度のため,本研究で策定された児童理解アセスメント方略及び,児童理解マトリクスの全容をまとめた上で,児童支援員と心理職の連携の在り方についての事例研究についての成果報告書を作成する計画である。
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