2016 Fiscal Year Research-status Report
レビー小体型認知症の鑑別に有用な心理検査バッテリーの検討
Project/Area Number |
16K04381
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
村山 憲男 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (00617243)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 心理アセスメント / レビー小体型認知症 / アルツハイマー型認知症 / 視覚認知課題 / 模写課題 |
Outline of Annual Research Achievements |
レビー小体型認知症(DLB)は、変性性認知症ではアルツハイマー型認知症(AD)の次に出現頻度が高い。しかし、両疾患の臨床症状には共通点が多く、DLBを的確に鑑別することは難しい。これまでにDLBを鑑別するための心理検査がいくつか報告されてきた。しかし、これらの検査のうちどれが最も適切か比較した研究はない。本研究では、複数の検査を同一の対象者群によって比較し、DLBの鑑別に最も適切なものを特定することを目的のひとつとする。しかし、単一の検査よりも、複数の検査をバッテリーとして組んだ方が鑑別の精度が上がるかもしれない。そのような検査バッテリーを探ることが、本研究の最も重要な目的である。 研究実施計画としては、平成28年度~最終年度まで、AD群、DLB群、健常群のデータ収集を行う。特に平成28年度は集中的にデータ収集を行い、改善点が見つかれば直ちに修正する。平成29年度以降は、仮分析や更なるデータを収集した上で、最終的な分析を行う。対象者数の目標は、AD群100名、DLB群50名、健常群100名である。これの対象者に対して、各心理検査における、DLB-AD(参考として健常群)の鑑別力を比較する。用いる検査は、Mini-Mental State Examination(MMSE)、ベンダーゲシュタルトテスト、COGNISTAT、バウムテスト、時計描画検査、標準高次視知覚検査、他の視覚認知検査などであり、対象者の負担や臨床的価値を最優先に、各医療機関の臨床業務で行える範囲で実施していく。 これらのデータは、最終年度に多数例での報告を行う予定であるが、それ以前に部分的にでも有意義な結果が得られた場合には随時報告していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象者を最も多く集めることを予定していた順天堂大学で臨床心理士や精神科医の異動があり、データ収集の開始が遅れた。しかし、平成29年4月から順天堂大学でもデータ収集を開始しており、現時点で順調に集まりつつある。また、神奈川県内の老人保健施設やクリニックなどの協力施設も新たに開拓できたため、平成29年度は順調に進む予定である。 また、当初より予定していたCOGNISTATの語り課題を用いた分析は、まだ仮のデータであるものの平成28年度の時点でできる範囲で分析し、その成果を国際誌に投稿した。明確な結果が得られなかったこともあり査読結果は不採択であったが、問題点を改善し、別の雑誌への投稿を計画している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度はデータ収集を本格化するとともに、集まったデータをもとに、一部の成果はできる範囲で分析・報告していく予定である。特に、MMSEの5角形模写課題に関するデータは既にある程度あるため、まずはこのデータの整理・分析・報告を行っていく。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた最も大きな理由は、人件費・謝金に関して、前述した通り順天堂大学の人事異動などの問題によりスムーズな遂行ができなかったことである。しかし、順天堂大学でのデータ収集は平成29年4月より開始しているほか、新たな協力施設も開拓できている。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に生じた遅れを補うよう、平成29年度以降は継続してデータ収集を行っていく。 また、臨床現場でデータ収集を行う活動のなかで、新たなアイデアも生じており、当初の計画では予定していなかった心理検査を新たに導入する可能性もある。
|