2017 Fiscal Year Research-status Report
交通外傷児と家族のPTSDに関する研究-早期スクリーニングと心理教育の効果検証ー
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16K04385
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
吉野 美緒 日本医科大学, 医学部, アシスタントスタッフ (90748592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 豊 筑波大学, 人間系, 教授 (60173788)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 交通外傷 / PTSD / スクリーニング / アセスメント / 心理療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
交通外傷児と家族のPTSDリスクを、受傷後早期にスクリーニングするための質問紙を作成した。作成にあたっては、海外で使用されている、交通外傷をはじめとする外傷による小児のPTSDを早期にスクリーニングするSTEPP(Screening Tool for Early Predictors of PTSD:日本語翻訳権を取得している)の日本語版を参考にした。当初は、STEPPを翻訳したものを、対象者に実施することを検討していたが、本邦における交通外傷児と家族のPTSDに関する質問紙調査の結果(平成28年度に統計分析を実施)と一致しないリスク因がある(たとえば、本邦の調査結果では性差が無かったが、STEPPにおいては女児のリスクが高いとしているなど)ため、質問紙調査の結果をもとに、STEPPの一部項目を活用し、独自の質問紙を作成した。 その質問紙を、実際に活用する日本医科大学千葉北総病院救急科、小児科の医師の意見を聞きながら改訂作業を行った。 上記の過程を経た後に、交通外傷により、日本医科大学千葉北総病院に入院した児と家族に、質問紙調査を開始した。調査の実施にあたっては、小児科医師より研究内容について説明書を用いて説明を行い、参加の場合には同意書を得た。 受傷後3か月を経過した児と家族には、フォローアップの質問紙を郵送し、回答を得た。フォローアップの質問紙は、親のPTSD、児のPTSD・抑うつ状態をアセスメントするものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度に予定していた研究2について、質問紙の作成、改訂までは順調であったが、交通外傷後に調査に協力をいただける対象者が少なく、十分な回答数が集まっていない。そのため、平成29年度に予定していた、質問紙調査の分析には至っていない。また、研究代表者が、平成29年度に出産し、産休を取得していたため、作業に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、スクリーニングの質問紙を引き続き行い、回答数を増やしていくと共に、フォローアップの質問紙についても、受傷から3か月後だけでなく、1年後についても調査を開始する。得られた回答を分析し、スクリーニング質問紙の精度を確認し、改訂が必要であれば改訂作業を行い、実際に活用できるようにする。あわせて、交通外傷後の心理状態に関するパンフレットを作成する。
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Causes of Carryover |
(理由)調査対象者の数が少なく、質問紙調査の実施、回収のための人件費が当初の予定よりもかからなかったことと、質問紙実施後に、カウンセリングなどの介入が必要となるケースが少なかったことから、残高が生じた。 (使用計画)交通外傷後の児と家族に対する質問紙調査を継続しており、今後対象者数は増えていくことが予想される。そのため、次年度も質問紙調査の実施、回収のための人件費は必須である。また、対象者が増えることに伴って、調査実施により心理的な負荷が高まり、カウンセリングなどの対応が必要となる対象者も増えることが予想されるため、臨床心理士の配置が今後も必要である。
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