2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K04467
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
和田 正法 三重大学, 教養教育院, 講師 (10724990)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 工業学校 / 技術教育 / 東京高等工業学校 / 大阪高等工業学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度までに収集した資料の読解を行い、成果を公表することに努めた。2018年5月に開催された日本科学史学会第65回年会において、「大正・昭和期の大学昇格への反対意見にみる工業学校の意味」のテーマで講演を行った。ここでは工業学校が大学へ昇格する歴史的過程において、昇格への議論について、関係者の間でも必ずしも賛成意見ばかりではなく、反対意見があったことを明らかにし、それらの議論に基づいて、当時工業学校がどのような意義をもっていたのかについて報告した。2018年9月には、欧州の日本学研究所から招聘があった国際ワークショップ「江戸時代から明治期にかけての技術知識の生成と普及――職人から技師へ」において、「Social Motives of Two Higher Technical Schools in Tokyo and Osaka to Attain University Status in 1929」のテーマで講演を行った。ここでは、東京高等工業学校、および大阪高等工業学校の同窓誌の記事に基づいて、工業学校の形成と発展を社会史的観点から議論を行った。また、明治中期以降の各種工業学校の形成へとつながる歴史的源流にあたる工部大学校の終焉と帝国大学工科大学への移行について研究を展開し、明治初期以来の日本における技術教育の特徴に関する新たな解釈を日本科学史学会誌である『科学史研究』に提示することができた。なお、本年度は当初の計画においては最終年度であったが、上記の欧州の日本学研究所から、平成31年度中に開催される国際ワークショップへの再度の招聘を受けたため、研究課題を発展させた内容について報告する予定である。このため、補助を受ける事業期間の延長を申請した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成果の報告までに時間を費やしたとはいえ、本年度中には、一定の成果を公表することができた。そのうち、欧州の日本学研究所において開催された国際ワークショップにおいて研究課題の成果を示すことができた。その結果、同研究所から平成31年度中に開催される国際ワークショップにおいて引き続き招聘を受けることとなった。当初の計画では本年度が補助を受ける最終年度であったが、期間を延長して本研究課題を発展させる機会を持つことにつながったため、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は補助を受ける事業の最終年度であったが、9月に参加した国際ワークショップの終了後に、次年度の9月に欧州においてに再び開催される国際ワークショップへ招聘を受けた。そのため、本研究課題を発展させた研究成果を提出することを検討して計画を変更することとし、補助を受ける事業期間の延長を申請した。平成31年度は、おもにその国際ワークショップにおいて成果を公表するための準備に充てる予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、旅費に関して、欧州において開催された国際会議への参加費用は全額先方負担となったため、その分、予定の支出を行わなかった。なお、本年度は補助を受ける事業の最終年度であったが、次年度に欧州において再び開催される国際会議へ招聘を受けたために、本研究課題を発展させた研究成果を提出することとし、補助を受ける事業期間の延長を申請した。繰り越した分は、その準備に充てる計画である。
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Research Products
(3 results)