2017 Fiscal Year Research-status Report
教員養成教育における国際化と国際教育の教育効果をめぐる科学的実証研究
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16K04476
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
香川 奈緒美 島根大学, 教育学部, 准教授 (80622399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
百合田 真樹人 島根大学, 教育学部, 客員研究員 (40467717)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 教育効果 / 国際交流 / グローバル教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国で実践されている国際教育活動の実態調査を行い、以下の点が、大きな課題として見えた。1)希望的有用感に基づく教育目標:留学すること、国際的なプログラムに参加すること自体が目的とされる傾向がある。2)教育効果を保証する教育者側の責任の不在:留学生との「交流」を内容とするプログラムの多くは、教師としての学びを得る方法論が不在。3)教育的効果をめぐる実証的研究が不足:国際教育を教員養成・教師教育のカリキュラム上に位置付け、学びを追求する必要性と、根拠に基づいたカリキュラム構築を行う必要性の認識の欠如。 この国際教育のあり方を改善するため、本学教育学部で実践している国際教育プログラムの効果測定を行っている。現在、すでに効果が認められている結果として、事前指導の重要性が上げられる。国際教育プログラム履修生の履修目的が教師教育の専門性向上を含むものか否かによって分類し、目的の差が教育効果の深化に及ぼす影響を測定した。履修時点で、履修理由を単位取得と答えた履修者は、プログラム終了後の調査で「外国人学生の文化習慣に関する知識」の不足を実感していた(r=.64, p<.01)。一方、新しい学びの機会を期待して履修した学生群は、「批判的省察力」の不足(r=.54, p<.05)や、「他者視点で考察する力」の不足(r=.52, p<.05)を実感として示していた。「新たな学び」の機会として国際教育をとらえた履修者は、異文化(他者)を介して、自らを再考する機会を獲得しているほか、他者視点への気づきを得ている。そこでは、他者視点から自らを再考する姿勢が獲得されており、国際教育からより高次な学修経験を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集はほとんど終了し、データ分析の途中である。
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Strategy for Future Research Activity |
日本国外で行われている国際教育の事例と、その実践の根拠となった研究論文等を調査し、さらには、日本の状況とてらしあわせることで、国際教育の効果的な教育効果測定のありがたを研究する。
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Causes of Carryover |
国内外の調査地を必要に応じて変更しながら研修を進めているため、支出額に変更が生じた。最終年度は、データの分析と調査結果報告に予算を使用する予定である。
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Research Products
(4 results)