2017 Fiscal Year Research-status Report
自治体社会教育における全国規模の定量的経年変化に関する研究
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16K04556
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
内田 純一 高知大学, 教育研究部総合科学系地域協働教育学部門, 教授 (80380301)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自治体合併 / 社会教育行政 / 社会教育施設 / 社会教育計画 / 社会教育再編 / 指定管理 / 定量的経年変化 / 地域自治組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本社会教育学会プロジェクト研究「自治体改革と社会教育再編」(2008年/平成20年)にて実施した「自治体改革と社会教育条件に関する全国悉皆調査」の追跡調査を行い、平成の自治体合併が社会教育条件整備にもたらした影響や今後の可能性を定量的な経年変化によって明らかにしようとするものである。 平成29年度は、合併自治体及び非合併自治体に共通する以下11の項目について、追跡調査を行った。「一般行政予算及び教育予算、社会教育関連予算」「社会教育関連職員数」「社会教育委員数」「公民館・図書館・博物館数及び職員、予算」「社会教育関連施設の運営形態(委託化・嘱託化、有料化)」「社会教育関係団体の再編状況」「社会教育関連施設への指定管理者制度導入状況(管理部門、事業部門)」「社会教育関連行政の一般行政部局への移管状況」「地域組織の変化・再編状況」「社会教育に関する計画づくりの状況」「公共施設等総合管理計画の状況」。 その結果、現段階で大きく3つの定量的特色が見えてきた。第一は、非合併自治体に比べ合併自治体の方が、「社会教育関連施設の委託化・嘱託化・有料化」及び「社会教育関係団体の再編」が進行してきていること。第二は、「社会教育関連施設の指定管理者制度導入」及び「社会教育関連行政の一般行政部局移管」は、非合併自治体の方が進行してきていること。第三は、公民館・図書館・博物館を含む「社会教育関連職員数」については、合併自治体及び非合併自治体の間に優位な差は見られなかったが、合併自治体間においては、その格差が拡がってきていることである。 今年度は、追跡調査で明らかとなった特色を踏まえながら、2008年調査と比して社会教育の混乱・解体への歯止めがかかっている自治体の個別分析を進めるとともに、地域自治区での独自な取り組みの検討を加え、地方創造時代における新たな自治体社会教育の可能性を提示する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初研究計画の通り、29年度においては、2008年調査の追跡調査を実施するとともに、そのデーターを集計・分析して、大きく3つの定量的経年変化の特色が浮かび上がってきたこと。また近隣(四国県内)ではあるが、定量的データーを裏付ける個別自治体の事例検討を行うことができたことがあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、主に次の3点を行う。第一に、引き続き追跡調査の詳細な分析・検討を行う。例えば、「財政力指数」「実質公債比率」「自治体職員数」といった財政状況に関する数値とのクロス集計を試みることで、自治体類型による社会教育行政再編の特色を把握する。第二に、自治体における「合併」への対応の違いに着目して、社会教育行政の再編状況の関連を明らかにすること。第三に、社会教育の混乱・解体への歯止めがかかっている自治体の個別分析を進めるとともに、地域自治区での独自な取り組みを検討すること。それらを通して、地方創造時代における新たな自治体社会教育の可能性を提示する。
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Causes of Carryover |
理由としては、データーの分析に時間を要し、個別自治体のヒアリング調査が、全国規模ではなく四国県内に留まったことがあげられる。 使用計画としては、2008年調査と比して社会教育の混乱・解体への歯止めがかかっている自治体や地域自治区のヒアリング調査を全国エリア(北海道・東北、関東・甲信越、近畿、中国、九州)で行い、当初の計画通り、研究のまとめを作成する。
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