2016 Fiscal Year Research-status Report
学校と地域の組織的連携・協働による家庭教育支援の推進体制づくりに関する研究
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16K04585
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Research Institution | Hiroshima University of Economics |
Principal Investigator |
志々田 まなみ 広島経済大学, 経済学部, 教授 (30435044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 愼之輔 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (30325047)
天野 かおり 下関市立大学, 経済学部, 准教授 (20551625)
佐々木 保孝 天理大学, 人間学部, 准教授 (30403596)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 学校・家庭・地域の連携協働 / 家庭教育支援 / 地域の教育力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、家庭教育支援チーム(名称は事例によって異なる)を核とした、乳幼児期から主に学齢期までの子どもの成長を継続的に支援できる学校・家庭・地域の連携組織の体制について、先駆的な事例に対する質的な調査をもとに考察することを目的としている。 かねてより、学校・家庭・地域の連携協働の取り組みでは保護者の協力が乏しいことが問題視されており、保護者の「親」としての育ちをも視野に入れた家庭教育支援活動を、どのように推進していくかが問われている。また、家庭教育支援の場合、本当に支援を必要としている家庭に参加を促すことが特に難しく、こうした子育てをめぐる地域のネットワークに取り込みにくい保護者層への支援を考えていくうえでも、非常に重要な視点であるともいえる。 本年度は、地域の実情や特性を考慮しながら多様な形態で運営されている「家庭教育支援チーム(名称は事例によって異なる)」の実態を把握する視点を抽出することを中心に研究をおこなった。こうした視点に関する研究成果はほとんど蓄積されていない。そこで、これまで本研究チームがおこなってきた「学校・家庭・地域の連携協働事業」に関する研究活動の中で、「学校支援地域本部」の取り組みに着目した学校・家庭・地域の連携協力を推進する組織の運営に関する4類型モデルを応用し、事例の類型化シミレーションをおこなった。軸としては、行政中心および民間団体中心の軸、子育てに関する専門家による指導・相談中心および子育て仲間づくり中心の軸、あるいはコーディネータの有無の軸等、これら軸を組み合わせていくことで家庭教育支援チームの実態を把握する枠組みとしてふさわしいものを検討できるよう、アンケート項目を工夫し、開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全国の家庭教育支援チームは、地域社会の実情に応じて独自の運営体制を構築しており、その運営は、行政職員が中心となった事例もあれば、保護者による子育てサークルやNPO等の地域団体が中心となったもの等、多岐にわたる。 こうした地域性を理解するための枠組み作りを行うことから始めた。その際、学校・家庭・地域の連携・協力の枠組みのどこに家庭教育支援事業が位置付いているかを把握するために、先駆的な活動を積み重ねていることが想定されるチームについての情報収集を行った。具体的には、平成25年12月に文部科学省の呼びかけに応じ、家庭教育支援チームとして登録した団体98チームである。ホームページ上で確認できる情報のみならず、学校支援地域本部事業に関する調査で収集している情報網を活用し、市町村全体で学校・家庭・地域の連携協働を積極的に実施している自治体を絞り込み、枠組みの検討を行った。 こうした研究成果を踏まえ、家庭教育支援チームの実態を把握するための全国アンケート調査を実施することを計画していた。アンケート項目については既に完成しているが、発送・回収作業が年度末にまでずれ込んでしまった。担当者の異動や変更等によってアンケート票が紛失するなどの恐れがあるため、新年度での発送に向けて準備をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
アンケート票の発送、回収、集計作業を行い、家庭教育支援を中核とした学校・家庭・地域の連携・協働を推進している取り組みの先進事例を抽出していくことから始める。このような先進事例の収集についてアンケート調査の結果からだけでは困難が予想されるため、都道府県教育委員会の担当部局に電話により補足的に情報提供を受けながら、先進事例の抽出を行っていく。 その際、初年次に検討を行った地域特性を考慮に入れて、同じ特性をもつ事例を数か所ずつ抽出し、インタビュー調査をおこなっていく。その際、支援活動の方針や内容について、運営委員会内において学校、家庭、地域からの代表者たちによってどのように議論され、事業に関する意思決定が行われているか、などについて聞き取る予定にしている。
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Causes of Carryover |
アンケート調査項目の開発が年度末となってしまったことにより、この時期にアンケート票を配布しても、担当者の異動等によってアンケート票が紛失したり、新年度開始時の多忙さによって回収率が悪くなったりするおそれがあるため、アンケート票の発送時期を平成29年度開始後におくらせることとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
アンケート票等印刷費、発送作業のアルバイト費、発送費、データ入力作業費等が使用されないまま残っている。平成29年度なるべく早い段階でアンケート票を配布、回収、集計、分析を行い、その結果をベースとしてヒアリング調査の項目作成へ生かしていく計画である。
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