2016 Fiscal Year Research-status Report
体験と思考をつなぐ「生活を通した学習」モデルの構築―社会的協働学習実践の国際比較
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16K04588
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Research Institution | Toyo Eiwa University |
Principal Investigator |
尾崎 博美 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 准教授 (10528590)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 社会的協働 / 概念化 / 体験 / 創造性 / 地域-学校-家庭の連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、本科研の初年度に当たり、特に、「社会的協働学習実践」の理論枠組みに関する先行研究文献及び資料について、主としてジェーン・ローランド・マーティンの著作および関連論文や資料の収集及び分析を行った。また「社会的協働」概念の精緻化を進めるために、メルロ=ポンティの「暗黙知」理論、スーザン・ランガーの「シンボル形式」論に関する文献調査を実施した。 フィールド調査としては、国内においては北海道、宮城県、岩手県、山梨県、石川県のそれぞれで、小学校、大学、美術館、博物館の訪問調査及び資料収集を実施した。国外では、アメリカのボストンを訪問し、「ケアリング」論について、ジェーン・ローランド・マーティン氏と研究打ち合わせを行った。また、同市の美術館及び大学における教育実践に関する資料収集を実施した。 上記の一部の成果は、教育思想史学会において、「日本の教員養成における「教育思想史」の誕生と意義―「“教える”ことを“教える”」営みの多層性に向けて―」として、また、日本教師学学会において「学習者の主体性を引き出す「創造的教授」の可能性―シンボル形式論における「創作」・「鑑賞」概念に着目して―」として発表を行った。 加えて、当該成果の一部を「S. K. Langerの「シンボル形式」論に基づく「教える-学ぶ」営みの再提示―創造的な教授としての「創作」と能動的な学習としての「鑑賞」―」として、『東洋英和女学院大学紀要』に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度である平成28年度は、概念分析及び、先行研究調査を中心とし、特に、「教育エージェント」の概念的整備、及び「社会的協働学習実践」の歴史的経緯と位置づけの分析を通して、国内・国外のフィールド調査の基盤となる理論枠組みを作成することを目指した。国内・国外双方でのフィールド調査を実施することが出来た事に加えて、その成果の一部を学会及び紀要において発表することが出来、本科研の研究計画は、当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目にあたる平成29年度は、国内・国外におけるフィールド調査をさらにすすめていくこととする。資料収集及び文献調査と並行することを通して、研究対象である「教育エージェント」及び「社会的協働学習」の実践がもつ特徴や意義を明らかにすることを目指す。 また、調査結果の分析を通して、「社会的協働学習実践」がもつ「学校と学校以外の教育リソースとの連携」という特徴を理論的に整理し提示・発表することを目指す。
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