2016 Fiscal Year Research-status Report
学校統廃合過程における<京都方式>の検証-「地域」の固有性・多様性に着目して-
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16K04638
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Research Institution | Kyoto Seika University |
Principal Investigator |
中島 勝住 京都精華大学, 人文学部, 教授 (00172320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 哲 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10293888)
中西 宏次 京都精華大学, 人文学部, 教授 (50554333)
中島 智子 プール学院大学, 国際文化学部, 名誉教授 (80227793)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 小規模学校 / 元学区 / 地域固有性 / 小中一貫教育 / 広域統合 |
Outline of Annual Research Achievements |
年度初め、研究組織の立ち上げを行い、そこで年6回の共同研究会の開催が決まった。そして、まず、今後の調査に関して京都市教育委員会と学校統合推進室に協力依頼を行い、協力の承諾を得ることができた。 現地調査は、伝統的地域として西陣中央小学校、固有の課題を抱える地域として東山開晴小中学校、それぞれの元学区を中心に行った。 西陣中央小学校では現校長へのインタビューに加え、成逸、西陣、桃園、聚楽という4元学区の住民や有力者から、それぞれの元学区での統廃合までの経緯と議論の内容、さらには統合後現在までの校区の推移などを詳細に聞き取ることができた。 東山開晴館小中学校は、粟田、有済、新道、六原、清水、修道、貞教の7小学校、洛東、弥栄の2中学校の、しかも2段階による広域統合によるものであった。ここではまず、元、現校長や関わりのあった教諭などの学校関係者へのインタビューを実施し、さらにそれぞれの元学区住民や保護者、有力者へのインタビューを行った。その中では、この地域固有の問題がどのように「解決」されていったのかをうかがい知ることができた。 年度途中からは伝統地域の一つとして、菊浜、稚松(わかまつ)、植柳(しょくりゅう)、崇仁(すうじん)の4元小学校が統合して創設された下京渉成小学校での調査を開始した。その内容と方法は、上記した2校と同様である。ここについては、2017年度も継続調査する予定である。 こうした現地調査の他に、統合の際提案されることが多くなった「小中一貫教育」について、京都市において小中一貫教育をすでに実施していた大原学院を通して、「小中一貫教育小規模校全国サミット」に参加し、全国的な小中一貫教育について知見を得ることができた。この件に関しては、東京都品川区を訪れ、区内での小中一貫教育の経緯と現状について聞き取り調査も実施し、京都市の場合との異同について考察を深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画は、1.研究組織の立ち上げ、2.京都市教育委員会へのヒアリングと資料収集、3.調査対象地域の選定と調査準備ということであったが、1と2については、順調に実施することができた。3についても、西陣中央、東山開晴館についてはほぼ調査を完了し、その他に、伝統地域の2校目として下京渉成小学校の調査に着手することができた。また、この他の調査対象地域についても、ニュータウンとしての向島、京都市内における過疎傾向地域としての花脊地区、固有の課題を抱える地域の2校目として凌風小・中学校における調査も2017年度に着手することが決定している。 さらには、周辺的な調査として、東京品川区での調査や全国小中一貫教育小規模校サミットに参加するなどして、小中一貫教育と学校統合との関連について考察を深めることができた。 ただ、研究会の開催については、6回の予定が5回に留まったため、共同研究者間の議論やデータの共有に関して、一層の充実が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度以降も、進捗状況でも述べたように統合校を中心とした元学区や地域でのインタビュー調査を順次実施していくつもりである。2017年度は、継続中の下京渉成小学校、新たに向島での統廃合、花脊小中学校、固有の課題を抱える地域の2例目として、2012年に統合し創設された凌風小・中学校での調査に着手する予定である。 国内の調査の他に、韓国における学校統廃合に関して、とくに大都市周辺での事例を調査する予定であり、以前より交流のあった韓国の研究者との交流も計画している。詳細についてはまだ未定であるが、2017年度内には実施したい。。 また、共同研究者間の議論を活発化し、報告書作成に向けたイメージの共有を図るため、2017年度中に、研究分担者と研究協力者を交えた集中的な研究会を2回予定している。そこでは、今年度中に予定している中間報告書作成について、執筆分担等の話し合いと、最終年度の報告書に向けたデータの共有、作成イメージに関する議論をしていくつもりである。
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Causes of Carryover |
本年度の現地調査が京都市内でも中心部であったために、交通費の出金が予想よりも大幅に下回った。また、研究会もすべて市内の会場か代表者の勤務する大学で行ったために、それに係る経費が軽減された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度は韓国における調査と宿泊ともなう研究会を2回予定しており、それに係る経費が必要となる。また、市内における現地調査も、市郊外が中心となるために、交通費の増加が予想される。
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