2016 Fiscal Year Research-status Report
工具を操作する技能が「型」から「巧緻」に至る過程の解明と指導法の開発
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16K04699
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
有川 誠 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (50325437)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ドライバー / 技能 / 巧緻性 / 技能指導法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度前半は、技能(巧緻の程度)を評価する評価規準について、研究協力者・野方健治教諭(佐世保市立日宇中学校)の勤務校での実践・調査により検討を行った。事前に、①操作速度、②操作軸のぶれ、③ドライバー押力、④操作メタ認知(操作の自己モニター)等が規準になるのではないかという仮説を立て、実践・調査に臨んだ。その結果、「操作軸のぶれ」と「ドライバー押力」は評価規準と成り得ることが明らかになったが、「操作メタ認知」については評価規準と成りにくいことが分かった。また「操作がぎこちない(巧緻性が劣る)被験者は、必ずしもドライバー押力(押す力)が不足している訳ではない」という新たな知見が見いだされた。ドライバー操作の基本は「押す力7割、回す力3割」と言われるが、単純に「しっかり押せばよい」というものではなく、「押すべき(力を加えるべき)タイミングで、押す力、回す力を調整できる」ことがポイントであることが明らかになった。 これらの結果から、「操作軸のぶれ」や「ドライバー押力」を経時的・定量的に測定する「技能測定ドライバー・システム」の開発が急務であると考え、平成28年度後半はこれら装置の開発・設計に着手した。具体的なものは、トルクセンサ等を内蔵した「技能測定ドライバー」、荷重センサ及びセータ収集ユニットを内蔵した「汎用押力測定器」、及びこれらのデータを取り纏める「データ収集・集計ソフトウエア」である。これらの装置の製作を工具開発会社に依頼し、年度末までに装置全体のシステムがほぼできあがった段階となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、当初の予定では「技能(巧緻の程度)を評価する評価規準」を確定するところまで予定していた。ただ、その規準とすることを想定していた「操作メタ認知(操作の自己モニター)」が規準となりにくいことが明らかとなり、逆に「操作軸のぶれ」や「ドライバー押力」が有効な規準となることが明らかになったため、平成29年度に予定していた「技能測定装置」の開発に早々に着手することになった。 なお、当初の予定では、技能測定装置は「外面的(視覚的)に動作を分析する装置」を想定していたが、工具開発会社の協力が得られたことから、(外面的ではなく)内部にセンサ等を組み込んだ「技能測定ドライバー・システム」を開発することができた。これにより、より詳細な工具操作に関するデータが得られると期待できる。研究は順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の初めは、開発した「技能測定ドライバー・システム」が試作モデルであるため、まず(装置としての)評価、場合によっては調整が必要になる。これらを終えた後、研究協力者・野方健治教諭(佐世保市立日宇中学校)の勤務校で、中学生を被験者とした装置を用いての実践・調査を行うことになる。この実践調査では、評価者による被験者の操作パフォーマンス(ドライバー操作がぎこちないか、上手いか)と、装置により測定データがどう関連するかを、まず詳細に調べる必要がある。すなわち,「ドライバー操作の上手い人は、操作のデータが○○である」といったことが明らかになれば、技能指導において「指導者が操作者にどうアプローチすればよいか」がかなり明確となり、指導法開発への有力な手懸かりになると考えられる。
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Causes of Carryover |
「今後の研究の推進方策」に記載したように、平成28年度に開発した「技能測定ドライバー・システム」は試作モデルであるため、装置としての評価・調整が必要になる。特に、システムの一つを構成する「技能測定ドライバー」は精度向上を意図した改良モデル(新たな製作発注)が必要になると考えられ、この予算確保のため次年度に使用額を繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「技能測定ドライバー」のモデル改良に費用を使用する。既に試作モデルは出来上がっているので、製作には試作モデルの2/3程度の費用になる見込である。平成29年度交付見込額(請求額)と合算して使用する予定である。
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Research Products
(2 results)