2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Design of the Program for Children to Perceive Daily Life in a Fresh Viewpoint
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16K04708
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
北澤 俊之 東洋大学, 文学部, 教授 (70553741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三澤 一実 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (10348196)
榎本 淳子 東洋大学, 文学部, 教授 (50408952)
井口 眞美 実践女子大学, 生活科学部, 准教授 (60550796)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | とらえ直し / 造形的な見方・考え方 / 教育プログラム / ユーモア |
Outline of Annual Research Achievements |
身近な事物を改めて新しい視点からとらえ直すための造形教育プログラムの開発を継続的に行ってきた。プログラムの特徴は、「ユーモア」をベースに、事物がもつ造形要素への注意を喚起し、鑑賞者の見方・考え方の更新を図ろうとする点にある。これまで研究者は、造形要素のなかでも特に形や色を扱うプログラムについては一定数開発することができた。具体的には、「見たて」「連想」「擬人化」といったメタファーを切り口とした内容である。しかし、同じ造形要素でも、テクスチュアやコンポジションといった、複雑で教室に持ち込みにくいもの、また身体感覚に強く依っているものについては、未だその開発が十分でないという課題が残されていた。 そこで、今年度は身近な事物を写真に収めることで雑多な日常を手軽に操作できる「自作アートカード」の可能性について考察した。そのなかで得られた大きな知見は、対象の見方を更新するきっかけとなる「言葉」のはたらきであった。わたしたちが世界を認知し言語化するとき、そこには主体であるわたしたち個々の世界のとらえ方やその過程が反映される。このようなことから、事物のもつ「固有名詞」から、そのものの色や形、さらにはテクスチュアやコンポジションといった「造形的属性」へと注意が変化するとき、そこにどのような言葉が介在するのかを明らかにできれば、対象を異なるカテゴリーとしてとらえることを促すための有効な方策が得られるのではないかと考えた。その結果、発話を契機とするカテゴリー更新の実際を、一部明らかにすることができた。 また、上記研究に平行する形で、これまで行ってきた一連の研究をまとめた博士論文(武蔵野美術大学)をもとに図書を執筆し、出版した。このことにより、本研究の成果を広く現場の先生方に提供するとともに、有意義なフィードバックを得ることができた。
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