2016 Fiscal Year Research-status Report
言語習得理論に基づく小学校英語教育のボトムアップ型学習モデルの構築
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16K04763
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
菅井 三実 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (10252206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 幸夫 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 教授 (10207368)
八木橋 宏勇 杏林大学, 外国語学部, 准教授 (40453526)
金丸 敏幸 京都大学, 国際高等教育院, 准教授 (70435791)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 小学校英語 / 用法基盤理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究における全体的な目標は、英語の言語獲得に関する用法基盤モデルに基づき、帰納的学習モデルを日本の小学校英語教育の中で(再)構築しようとするものである。その下位目標として、(1)英語の母語獲得に関する「用法基盤モデル」を日本の小学校英語教育に援用し、用法基盤モデルにおける第1段階から第3段階の習得プロセスの中で、小学校5年生と6年生の児童に、どのような学習モデルが有効かを明らかにすること、(2)小学校3年生と4年生に対する英語教育が始まることを視野に入れ、どのような準備的学習が可能なのかを明らかにすることの2点を設定している。 本研究課題の学術的な特色として、用法依存モデルの小学校英語への応用が試みられることが挙げられるほか、結果については、小学校児童に対する用法依存モデルの適応可能性に1つの解答を与えるとともに、英語の母語話者を模倣した英語学習のモデルが教員向けの視覚教材として提供される。 本研究課題の意義として、無理のない自然な習得プロセスが導出されれば、小学校英語教育の低学年化や高度化に耐えられる指導法の具体化につながることが期待できる。また、児童の発話分析を通して、用法依存モデルによる指導プランが小学校児童に適用できる範囲が明らかになれば、その範囲において、基本動詞が特異的に理解され、中心的用法から周辺的用法に拡張されるプロセスを明示的に図式化することが可能になる。 平成28年度は、問題点の整理と検討からスタートした。小学校から中学校への接続を視野に入れて、中学校におけるメタ言語能力の活性化という観点から研究的授業を展開した。これと並行して、過去において小学校で実践したデータに分析を加えることで、小学校教員へ平明な解説を提供できるように公開の準備を進めた。最終的には、単行本として刊行することを計画しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目となる平成28年度は実際の研究的授業で協力してもらう予定だった小学校教員が校務で多忙となったため、当初の予定を若干修正せざるを得なかったが、このような場合に備えて事前に考えていた措置を講じることで対応した。すなわち、小学校から中学校への接続を視野に入れ、中学校におけるメタ言語能力の活性化という観点から研究的授業を展開した。その中で、小学生への導入を予定していた教材を中学生に導入したことで、有効性と改善点を明らかにすることができた。一方で、過去において小学校で実践した授業のデータに分析を加え、小学生における〈一語文の習得〉と〈3項関係への対応〉の実態を事例研究として整理しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度については、当初の計画に基づいて小学校における研究的授業の実践に研究活動の中心を戻し、計画通り進めてく予定であり、小学校英語と中学校英語との連携という観点から、中学校での調査研究も断続的に進めていくことを視野に入れたところである。同時に、汎用性を検証するため海外の小学校での視察を含めて有効性を高めるように努める。 平成30年度は3カ年の最終年度にあたるため、出版に向けた準備を進めていく。
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Causes of Carryover |
消耗品の購入に際して、年度末に発注しようとしたものが納品に時間を要することとなったため、年度内の支払いができなくなったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度への繰り越しも比較的少額であり、あらためて2年目に発注を掛けることで従前の計画に沿った研究が進行できるものと思われる。
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Research Products
(8 results)