2016 Fiscal Year Research-status Report
高等学校と警察が連携して行うボランティア活動の効果に関する実証的研究
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16K04782
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
林 幸克 明治大学, 文学部, 専任准教授 (90440651)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生徒指導 / 特別活動 / ボランティア活動 / 高等学校 / 警察 |
Outline of Annual Research Achievements |
高校生が,学校と警察が連携して行うボランティア活動に取り組むことで,自己認識や規範意識の形成にどのような影響を受けるのか,また,活動を通して得る気づきや学びは何か,質問紙調査(高校生対象),インタビュー調査(高校生・教員対象),活動の参与観察から実証的に検討した。 具体的な実践事例として,青森県における「少年非行防止JUMPチーム」に着目した。 質問紙調査から,「JUMPチーム」の認知度は,全体では約7割が「知っている」という回答であった。学年差はなかったが,男女差をみると,女子の方が知っている割合が高かった。「JUMPチーム」の活動経験では,小学生の時に「ある」割合が約1割,中学生の時に「ある」割合が2割強,高校生では,「現在活動している」約2%,「過去に活動していたが,今は活動していない」約5%で,合わせても1割に満たなかった。また,高校在学中に「JUMPチーム」の活動を「やってみたい」割合は,約8%であった。自己認識について,小学校・中学校・高等学校全ての段階で「JUMPチーム」の活動経験がある生徒は,いずれかで体験している生徒及び活動経験がない生徒と比較して,利他意識や自己受容に関する項目で得点が高かった。規範意識に関しては,すべての段階で活動経験ある生の方が,交通マナーや私語に関する項目で得点が高かった。 生徒対象のインタビュー調査から,小学生・中学生の時は,特に「JUMPチーム」の活動と意識しないで,挨拶運動などに活動に取り組んでいたこと,高校生になってからの活動では,小学生との交流や挨拶運動,学内での諸活動に取り組んでいるが,準備が重要であることや活動の意味を丁寧に考えることが必要であるという認識を抱いていることが示された。また,警察関係者と一緒に活動することで親近感を持つようになり,キャリア形成の一助になっていることを推察することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
青森県教育委員会,青森県警察本部の協力を得ることができたことで,高等学校におけるインタビュー調査(高校生対象・教員対象),高校生対象質問紙調査,活動の参与観察がスムーズに実施できた。 また,「JUMPチーム」の活動に関して,青森全県で実施している活動についても参観することができた。 さらに,青森県総合社会教育センターにおいて,「JUMPチーム」の活動に関する基礎資料のほか,青森県における高校生のボランティア活動推進状況を掌握できる資料の確認をすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き青森県の「JUMPチーム」の活動実践について調査研究を進める。それとともに,他自治体・地域において,高等学校と警察が連携してボランティア活動に取り組んでいる事例にも着目して,質問紙調査,インタビュー調査,参与観察などを実施して現状と課題を明らかにすることを試みる。
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Causes of Carryover |
青森県における調査研究を実施するにあたり,事前に電話や電子メール,文書等で綿密なやり取り・打ち合わせを行ったため,現地に直接赴く機会が,当初の予定よりも少なくて済んだことがある。 また,インタビュー調査に関して,文書による資料提供などがあり,当初予定していた人数よりも少なくなった。それにともない,テープ起こしなどに係る謝金を抑えることができたことも一因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
青森県における調査研究で現地に行く頻度を増やすとともに,別の自治体(具体的には愛媛県西条市)における現地調査を並行して行う。あわせて,翌年度,また別の自治体において行う調査に向けての依頼・打合せなどを丁寧に実施する。 調査規模等が大きくなることが予想されるため,交通費や謝金など,各種調査に係る費用もそれに伴って多くなる。
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