2017 Fiscal Year Research-status Report
単一細胞の機械的特性評価と遺伝子発現の相関解析用バイオMEMSの基盤構築
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16K04914
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久米村 百子 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (50533642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 祥平 東京大学, 生産技術研究所, 特任助教 (10542467)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | MEMSピンセット / 単一細胞 / 機械特性計測 / 単一細胞遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、細胞の機械的な特徴と機械特性に関連する遺伝子の発現状態を単一細胞レベルにおいて対応付け可能とする手法の確立を目的として研究を実施している。平成29年度の研究計画は、(課題2)MEMSピンセットによる細胞の機械特性測定方法の確立, (課題3)MEMSピンセットにより搬送した単一細胞の遺伝子発現解析条件の探索とした。課題2については、ステップ応答計測、三角波信号応答計測を行った。前年度の実験において、把持・計測したのちに細胞を解放するステップが難しいことが明らかになったため、この点を解決するために、細胞を把持するプローブ表面の化学修飾・構造改良を検討した。化学処理では、テフロン、パリレンC、MPCポリマー、Pluronic(界面活性剤)を蒸着、塗布等によりコーティングした。構造改良では、MEMSピンセットの作製過程に用いる深堀エッチングのエッチングレートを大きくし、プローブ壁面に溝を形成させることで、凹凸を形成した。それぞれの処理を行ったMEMSピンセットを用いて細胞把持・解放を試したところ、Pluronic処理と、プローブ壁面の構造改良を行ったデバイスにおいて、細胞が解放しやすくなる結果が得られた。課題3については、機械特性に関連する遺伝子のターゲットを、中間径フィラメントであるビメンチン、コントロールをGAPDH(Glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)として用いることとした。予備実験として、複数個の細胞,単一細胞を試料とした定量 を試みたが、望みのデータは得られなかったために、さらに実験環境・実験手順を最適化する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、計測後の細胞を解放するために行ったプローブ表面処理実験において、有効な処理方法を見いだすことができたので、この後に続く遺伝子発現解析の手順へ、円滑に細胞を搬送できることが見込まれる。遺伝子発現解析のパートでは、コンタミネーションの問題があり、単一細胞スケールでの発現解析の達成、ターゲット遺伝子の複数選定などの詳細な予備実験は達成できていない。予備実験の繰り返しや、手法の最適化を試みる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、研究計画の(課題4)として掲げた、CTCモデル細胞を用いた機械特性計測・遺伝子発現解析について取り組む。まず、遺伝子発現解析のプロトコルを早急に確立する。平成29年度までに解決できていないコンタミネーションの問題をなくすことが必須であり、比較的容易な複数細胞の遺伝子発現解析で訓練し、バイオ実験操作の習熟度を上げる。遺伝子発現解析のプロトコルを確立したのち、機械特性計測と発現解析を単一細胞について実施する予定である。
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Causes of Carryover |
購入した物品が見積もっていた額より最終的に安くなり、また年度末近くであったため、当該年度に使用することができなかった。次年度にも引き続き行う遺伝子発現解析実験に使用する消耗品の購入に充てる。
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Research Products
(2 results)