2018 Fiscal Year Annual Research Report
X-ray microanalysis of Ca in human hair for the development of new breast cancer diagnosis
Project/Area Number |
16K05021
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
伊藤 敦 東海大学, 工学部, 教授 (80193473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳田 裕 東海大学, 医学部, 客員教授 (20163975)
大東 琢治 分子科学研究所, 極端紫外光研究施設, 助教 (50375169)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | X線顕微鏡 / 蛍光X線分析 / 毛髪 / 乳がん / カルシウム / 酸化度分布 / NEXAFS / 放射光 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに毛髪のCa分布解析の手法を確立し、乳がん患者と健常人の毛髪分析データを比較してきた。今年度は乳がん患者において、腫瘍データ(腫瘍サイズ、Ki-67を指標とした腫瘍増殖能)と毛髪Ca量が増加する毛根からの部位との相関を検討し、本研究の最終的な目標である毛髪のCa変化の測定が腫瘍の早期発見に結びつけることができるかどうかについて考察した。 測定試料として、パーマ、ブリーチ、ヘアカラーはほとんど行わない、外食はほとんどしない、カルシウム・ビタミンDなどのサプリメントは摂取しない、という外部環境からの毛髪Caへの影響をできるだけ避けた毛髪を用いた。腫瘍サイズが同一、すなわち20mmと35mmの提供者、各2名ずつを比較した。結果は、腫瘍サイズが大きいほどメデュラ(毛髪中心領域)のCa量がピークとなる部位が毛根より離れていた。これはメデュラCa量の増加時期が乳がん発症時期と相関すると仮定すると、腫瘍サイズの大きい場合はより以前に(すなわちより毛根から遠い部位で)Ca量が増加したと説明できる。さらに、同じ腫瘍サイズでは増殖能が大きい場合ほどメデュラCa量のピークが毛根に近いこともわかった。この結果は短時間で腫瘍が大きくなったと解釈できる。以上の結果から、毛髪のメデュラのCa上昇時期と乳がん発症時期には相関があることが示唆された。 この結果からメデュラに蓄積するCaは血液からのCaを反映していると推測されるが、パーマ等の外部酸化により毛髪周辺部のキューティクルに蓄積するCaと化学形が異なる可能性を検討するため、CaのK吸収端での吸収微細構造(NEXAFS)を両者で比較した。両者ともに2つの吸収ピークが存在したが、そのエネルギーの違いは検出されなかった。しかしながら、2つのピークの強度比は異なっており、今後さらに測定例を増やすことが課題である。
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Research Products
(11 results)