2016 Fiscal Year Research-status Report
準ガロワ点理論の展開 -超曲面のデリケートな性質を扱うために-
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16K05094
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高橋 剛 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (60390431)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | ガロア点 / ガロア・ワイエルシュトラス点 / ワイエルシュトラス点 / 2元生成ワイエルシュトラス半群 / ガロア被覆 / 代数曲線 |
Outline of Annual Research Achievements |
代数関数体の内部構造を調べるために新潟大学の吉原久夫氏が定義した「射影超曲面のガロア点」は、吉原氏、三浦敬氏(宇部高専)、深澤知氏(山形大学)、私などにより着実に研究が進められてきた。より広いクラスの代数関数体をより詳しく調べるために、ガロア点理論の一般化が望まれている。 2016年度は、平面曲線のガロア点がワイエルシュトラス半群が2元生成となるようなワイエルシュトラス点と関係があることに注目して研究を行った。具体的にには、平面曲線ではない一般の代数曲線に対して、ワイエルシュトラス半群が2元生成となるガロア・ワイエルシュトラス点を、平面代数曲線の内ガロア点の一般化として捉え、その個数を求めるという問題について、神奈川工科大学の米田二良氏と共同研究を行った。その結果、次の定理を得ることができた。 [定理] Cを標数零の代数閉体上の射影的代数曲線で、その種数は2以上とする。自然数 a, b はその最大公約数が1であり、bはa+2以上であるとする。このとき、次が成立する。 1) bをaで割った余りがa-1ではないとき、C内の点でワイエルシュトラス半群がaとbで生成されるガロア・ワイエルシュトラス点の個数は0個か1個である。 2) bをaで割った余りがa-1のとき、C内の点でワイエルシュトラス半群がaとbで生成されるガロア・ワイエルシュトラス点の個数は、0個かb+1個である。 この結果は、平面曲線の内ガロア点の個数に関する吉原による定理と類似したものになっている。研究結果はプレプリントにまとめ、arXiv.orgにアップロードした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度は、代数曲線の弱ガロア・ワイエルシュトラス点の個数とその分布について研究を行う計画であった。 実際には、弱ガロア・ワイエルシュトラス点の一種である、ガロア・ワイエルシュトラス点でそのワイエルシュトラス半群が2元生成となる点について、その個数と分布を調べることができた。得られた結果はプレプリントにまとめた。また、ガロア・ワイエルシュトラス点ではない弱ガロア・ワイエルシュトラス点でそのワイエルシュトラス半群が2元生成となるものの個数についても、部分的に調べることができている。 従って、概ね順調に進展している、と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度は以下のように研究を進めていく予定である。 1. 米田二良氏との共同研究である、弱ガロア・ワイエルシュトラス点でそのワイエルシュトラス半群が2元生成となるものの個数と分布を求める問題を完全に解決して、論文にまとめる。さらに、ワイエルシュトラス半群が2元生成ではないがそれに近い状態となる弱ガロア・ワイエルシュトラス点の個数と分布について、研究を進める。 2. 以前、三浦氏・深澤氏との共同研究により、平面曲線のガロア点の一般化として平面曲線の準ガロア点を定義して、その個数の上限について結果を得ることができている。この準ガロア点についてさらに詳細な個数と分布に関する研究を行う。
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Causes of Carryover |
外国人研究者との研究打ち合わせを予定していたが、先方との連絡がうまくいかず実現できなかったため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度予定していた外国人研究者との研究打ち合わせを2017年度に実施して使用する予定である。
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Research Products
(1 results)