2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K05179
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鄭 容武 広島大学, 工学研究科, 准教授 (20314734)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 可微分力学系 / 大偏差原理 / エルゴード理論 / 臨界点 / 区分単調写像 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は,これまでの研究協力者であった高橋博樹氏(慶應義塾大),中野雄史氏(東海大)に加えて,山本謙一郎氏(長岡技科大)とも共同研究を行った. 高橋氏,山本氏とは,区間上の連続とは限らない区分単調写像の大偏差原理に関する研究を行った.その結果,今までに知られてこなかった大偏差原理が成り立つための判定条件が与えられた. 中野氏とは,ランダム力学系の極限定理に関する研究のほかに,経験分布が収束しない軌道を持つ初期点の集合の豊富さに関する研究を行った.これまで測度0の集合としてあまり注目されて来なかった例外集合に光を当てることによって,力学系の複雑さや熱力学形式論の研究発展に寄与するものと考えている. また,高橋氏とは可微分力学系の大偏差原理に関する2編の論文についてブラッシュアップを行った. 研究成果については,ICMS (Edinburgh, UK)にて開催された研究集会 "Thermodynamic formalism in dynamical systems" ならびに 国立台湾大学 (台北, 台湾) にて開催された国際会議 "12th AIMS Conference on Dynamical Systems, Differential Equations and Applications" において発表した.これらの集会では,情報収集のほかに Omri Sarig 氏(Weizmann Institute of Science, Israel),Mike Todd 氏(University of St Andrews, UK),Neil Dobbs 氏(University College Dublin, Ireland),Yuri Kifer 氏(Hebrew University of Jerusalem, Israel)等と力学系の大偏差原理に関する議論を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究による新たな成果やテーマが生まれつつある.特に高橋氏,山本氏との区分単調写像力学系に関する研究によって得られた大偏差原理が成り立つための判定条件やその具体例についての結果はすでに論文を執筆する段階に入っている.また,その中で用いられた判定条件をさらに精密化することによって今後,加算シンボルの記号力学系や高次元力学系における極限定理や熱力学的形式論の研究を展開できると考えている.
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き,研究協力者との交流を活発に行う. メールやインターネット通話による意思疎通はもちろんのこと,所属機関を相互訪問し集中的な議論によって研究を一気に進展させる.5月に鄭が長岡技術大を訪問し,区分単調力学系の大偏差原理を得るために用いた手法をより広いクラスの力学系の解析に適用するための方策について山本氏と議論する.また,7月に鄭が東海大を訪問し,emergence に関する熱力学形式論について中野氏と議論する. 今年度は研究課題の最終年度であるから,論文執筆や研究発表を積極的に行う. 特に,山本氏が主宰する研究集会「エルゴード理論とその周辺」(長岡技術大,11月)においてこれまでの研究成果を発表したいと考えている.その他国内外で開催される関連分野の研究集会にも積極的に参加する.
|
Research Products
(2 results)