2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K05212
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
小林 良和 中央大学, 理工学部, 教授 (80092691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
應和 宏樹 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10549158)
松本 敏隆 静岡大学, 理学部, 教授 (20229561)
小林 和夫 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (80103612)
野井 貴弘 首都大学東京, 理工学研究科, 客員研究員 (90736555)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 非線形半群 / 常微分方程式 / バナッハ空間 / 発展方程式 / 変動指数 / 非拡大型写像 / つ非線形保存型方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は,距離空間において消散条件を満たす変異方程式(mutational equations)の初期値問題の適切性(一意な時間局所解の存在と解の初期値に対する連続的依存性)を示した。バナッハ空間における常微分方程式の初期値問題の適切性に関する代表者達の結果の一般化を与える。応用例として,バナッハ空間における準線形方程式の初期値問題の適切性に関する加藤敏夫などによる典型的な結果を得られた理論から導いた。 研究分担者の小林和夫は乗法的確率項を持つ非線形退化放物型偏微分方程式のkinetic解の存在定理を証明した。証明方法は通常に用いられている粘性消滅法ではなく,時間分割法を用いた。また,非斉次境界条件を持つ非線形保存型方程式の初期値問題に対する一意性問題を扱っている。松本はサイズ構造モデルへの抽象準線形理論的アプローチについて調べ,應和はある不連続な流束をもつ保存則方程式の一意可解性について調べた。野井は重み付きの変動指数Herz空間に対して, 分数べき積分作用素の有界性が古典的な場合と同様の条件下で成り立つことを示した。また,変動指数を用いて一般化されたMuckenhoupt のウェイトのクラスについて解説し,このウェイトをもつ重み付き変動指数Herz空間におけるあるintrinsic square functionの有界性を各指数に適当な条件を仮定したもとで証明した。 研究協力者の冨澤佑季乃は二次元実数空間にπ/2 回転不変なノルムを入れたバナッハ空間の丸さを表す幾何学的定数について論じた。また,二変数汎関であるBregman距離に関して変数を不動点とした非拡大型写像のクラスを新しく導入し,この不動点への縮小射影法による強収束定理を示した。 日本女子大での発展方程式研究会は今年度も開催し,本研究の分担者もその研究成果について口頭発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バナッハ空間における常微分方程式の初期値問題の適切性に関する結果の連続でない場合への一般化を与えることが本研究のひとつの主目的であるが,距離空間において消散条件を満たす変異方程式の場合へ拡張することに成功し,バナッハ空間における準線形方程式の初期値問題の適切性に関する加藤敏夫などによる典型的な結果を導くことができたのは,大きな成果である。 非線形退化放物型偏微分方程式のkinetic解の存在,非斉次境界条件を持つ非線形保存型方程式の初期値問題に対する一意性問題,サイズ構造モデルへの抽象準線形理論的アプローチ,非連続な流束をもつ保存則方程式の一意可解性,重み付きの変動指数Herz空間,非拡大型写像の不動点への縮小射影法による強収束定理などに関する研究についても成果が上がっている。
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Strategy for Future Research Activity |
バナッハ空間における常微分方程式の初期値問題の適切性に関する結果の連続でない場合への一般化について,一定の成果が得られたので,これをさらに拡張できるかどうか,既知の他の結果とどのような関係があるかなどについて調べる。 非線形退化放物型偏微分方程式,サイズ構造モデルへの応用,非連続な流束をもつ保存則方程式との関係や,重み付きの変動指数Herz空間,非拡大型写像の不動点への強収束定理などに関する研究も同様に継続して推進する。
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Causes of Carryover |
予定していた研究打ち合わせ・資料収集旅費,人件費や消耗品の必要がなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究究打ち合わせ・資料収集旅費,人件費や消耗品として使用する計画である。
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Research Products
(13 results)