2016 Fiscal Year Research-status Report
πΔの光生成を用いた陽子と中性子の中の反クォーク構造の研究
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16K05379
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
郡 英輝 大阪大学, 核物理研究センター, 特任講師(常勤) (40448022)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ハドロン / 光生成反応 / 中間子 / 核子励起 / クォーク / 反クォーク |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年の春から実験の準備を進めて、夏前にはSPring-8においてフォトンのエネルギー1.5 GeVから2.9 GeVまでのビームを液体重水素標的にあてて、中性子標的からのπΔ生成反応のデータの収集を開始した。途中で、将来の実験で使用するための偏極HD標的の開発が入り、私がその中心メンバーであったため、データ収集は9月に一度停止したが、その後再開して年末のビームタイム終了まで順調に実験データを収集することができた。研究費で購入した真空ポンプは、水素、重水素、ヘリウムなどの軽い気体に対して十分な排気能力を発揮しており、標的ガスの真空引きを行う時にとても重要な役割を果たしている。必要なπΔ反応の数の約半分しかデータをためる事ができなかったが、本研究の1年目としては十分な結果であった。平成29年になってからは、収集したデータのキャリブレーションを行っており、データの質が問題無いことを確認した。
既に取得している陽子標的からのπΔ生成反応のデータ解析は順調に進んでおり、平成28年5月にアメリカ合衆国フロリダ州で開催されたBaryon2016国際会議においてPreliminary結果を発表した。また、平成27年10月にロシアのモスクワで開催されたEMIN2015国際会議において発表したPreliminary結果が、Proceedingsとして出版された。(Physics of Particles and Nuclei, 2017, Vol.48, No.1, pp.63-68. H. Kohri for LEPS collaboration)。最終結果を論文として発表する前に、理論計算をしてもらっている韓国釜慶大学のS.i. Nam先生との議論を結論へ持って行く必要があり、論文の発表は平成29年度になりそうである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
必要な重水素標的からのπΔ生成反応の数の半分程度ではあったが、1年目から順調にデータ収集を行うことができており、平成29年度も追加のデータを収集する事が可能なので、おおむね順調にきている。 研究費で購入した真空ポンプは実験において良く活躍しており、国外旅費を使って国際会議へ参加して研究発表を行う事もできていて、順調に研究が進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度には重水素標的からのπΔ生成反応のデータ収集を継続して、実験データのキャリブレーション作業を進めていく。平成29年度内には、Preliminary結果を学会で発表できるようにしたい。 平成29年の秋にアメリカ合衆国のサウスキャロライナ州で開催されるNSTAR2017国際会議か、スペインのサラマンカで開催されるHADRON2017国際会議において、陽子標的からのπΔ生成反応の最終結果を発表できるように、理論物理学者との議論を進めて最終的な結論を出したい。
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