2017 Fiscal Year Research-status Report
新規カゴ状希土類ホウ化物の超高圧合成と極限条件物性
Project/Area Number |
16K05431
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
伊賀 文俊 茨城大学, 理学部, 教授 (60192473)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高圧合成 / 機能性物質開発 / 近藤半導体 / トポロジカル絶縁体 / 価数揺動 / 金属非金属転移 / 強磁場 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究の目的は、これまで多彩な強相関電子系の舞台となって来た希土類(R)六ホウ化物RB6および十二ホウ化物RB12で、未だ作成されていない空白の化合物を、超高圧合成の手法により創り出し、その物性を明らかにすることである。その中でも特に注目しているのは、近藤格子で重い電子系と期待されるだけでなく、場合によっては価数揺動、多極子秩序、近藤半導体、超伝導、トポロジカル物性等も期待されるCeB12やPrB12、TmB6である。また常圧下で作成されているトポロジカル近藤半導体であるYbB12に、CaやSrなどの2価イオン置換も可能であるか、その物性はどのようなものかを明らかにする。なぜなら、RB12はこれまでRが3価もしくは4価のものしか実現しておらず、それらはいずれも金属である。しかし、YbB12は3価であるにも関らず半導体的振る舞いを示す例外であり、これを2価置換することは電気伝導的には絶縁体の強化となると予想され、その場合の近藤効果がどのような影響を受けるかは極めて興味深いテーマである。このため、当該研究では茨城大学に設置したドイツ製の最大1000トン荷重可能な高圧発生装置を駆使して、これらの物質創造のテーマに取組んでいる。初年度の28年度はこの装置の技術開発を進め、14~17GPaの高圧発生の条件を見いだし、H29年度までには(1)SmB12の創成条件確立、(2)近藤半導体YbB12のCa置換(最大20%)とSr置換(最大10%)に成功した。またTmB6系の実現の為、(3)Ca1-xTmxB6の作製にも挑み、40%までのTm置換にも成功した。これらの成果は物理学会や、国際シンポジウムで発表している。また、更なる高圧の上限引き上げにはアンビルサイズの適正な縮小化も大事であることがわかって来た。H30年度は高圧合成条件向上の為の技術開発を更に進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2段目アンビルサイズをこれまでの26mm辺の長さから25mm、ないしは24.5mmにすると、安定した高圧上限更新が期待できる事がわかった。これにより、17GPaであった圧力上限を20-25GPaまで上げられる見込みが出て来た。また各種高圧部品の精度の良い作製にも慣れて来ており、今後の研究の飛躍的進捗が期待できる。実際、近藤半導体YbB12の2価置換が進み始めたのはこの技術革新が大きく関係している。消耗品が高価な為、多くの部品を自作に切り替えていったが、試行錯誤の末その作製精度も上がり、実験のペースが上がって来ている。H30年度も更なる進展に励む。
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Strategy for Future Research Activity |
当該科研費だけではなかなか消耗品を揃えることが難しいので、いろいろな外部資金の活用を行いつつ、研究を進めていく。高圧技術は確実に進歩しているので、今後は高圧装置の活用の為にも、多くの研究者に本格的に装置の活用してもらう予定である。特にこの装置ではYbB12のCaやSr置換の進展が期待できる。CeB12、PrB12も合金からのアプローチが有効と思われるので、H30年度はこの合金系作製に挑む。単体としてのCeB12、PrB12の作製には、愛媛大や東工大グループとの共同研究を視野に入れ、30GPa超の更なる超高圧合成にも取組んでいく。作成した試料は、茨城大の立地を生かし、中性子や放射光などの量子ビームを用いた分光的磁性研究や構造物性研究も手がけていく。
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Causes of Carryover |
消耗品の年度末での調整誤差。H30年度分の消耗品分に繰り越して使用予定。
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Research Products
(32 results)
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[Journal Article] Different valence states of Tm in YB6 and YbB62017
Author(s)
H. Sato, H. Nagata, F. Iga, Y. Osanai, A. Rousuli, K. Mimura, H. Anzai, K. Ichiki, S. Ueda, T. Takabatake, A. Kondo, K. Kindo, K. Shimada, H. Namatame, M. Taniguchi
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Journal Title
Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena
Volume: 220
Pages: 33-36
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Linear dichroism in 3d core-level and 4f valence-band photoemission spectra of strongly correlated rare-earth compounds2017
Author(s)
Y. Kanai, T. Mori, S. Naimen, K. Yamagami, S. Kitayama, H. Fujiwara,A. Higashiya, T. Kadono, S. Imada, T. Kiss, A. Tanaka, T. Muro, K. Tamasaku,M. Yabashi, T. Ishikawa, F. Iga, T. Ebihara, F. Honda, Y. Onuki, A. Sekiyama
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Journal Title
Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena
Volume: 220
Pages: 61-65
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Temperature dependence of Yb valence in the sub-surface of YbB12(001)2017
Author(s)
K. Hagiwara, Y. Takeno, Y. Ohtsubo, R. Yukawa, M. Kobayashi, K. Horiba, H. Kumigashira, J. Rault, P. Levre, F. Bertran, A. TalebIbrahimi, F. Iga, S-i Kimura
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Journal Title
Journal of Physics: Conf. Series
Volume: 807
Pages: 12003(1-5)
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Hard x-ray photoemission study of Yb1-xZrxB12 : the effects of electron doping on the Kondo insulator YbB122017
Author(s)
A. Rousuli, H. Sato, F. Iga, K. Hayashi, K. Ishii, T. Wada, T. Nagasaki, K. Mimura, H. Anzai, K. Ichiki, S. Ueda, A. Kondo, K Kindo, T. Takabatake, K. Shimada, H. Namatame, M. Taniguchi
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Journal Title
Journal of Physics: Condensed Matter
Volume: 29
Pages: 265601(1-7)
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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