2017 Fiscal Year Research-status Report
リアス式海岸や海成段丘から津波堆積物を認定する手法の構築
Project/Area Number |
16K05574
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高清水 康博 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (10446370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
卜部 厚志 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 准教授 (20281173)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 津波堆積物 / リアス式海岸 / 粒子形状 / 円磨度 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究では,リアス式海岸の沿岸斜面や海成段丘のような“非浜堤列平野”の沿岸陸域における有効的かつ実用的な津波堆積物の認定方法を目指す.そのために新しい粒子形状パラメータ(R)を取り込んだ上で津波堆積物同定のための諸条件について検討している.地層観察,堆積組織学(R,粒度組成,および粒子配列),地形解析や年代測定等の複合的解析から徹底的な性状解明を行う.このことは,将来の津波防災の観点からも,古津波科学の視座からも非常に重要である.当初計画の研究対象は以下の2つである.すなわち, ① 三陸リアス式海岸の2011年東北沖地震津波の堆積物および先史・歴史時代の津波堆積物 ② 日本海東縁変動帯の完新世段丘に保存された津波由来と考えられるイベント堆積物 H29年度は,リアス式海岸について研究を進めた.また4)リアス式海岸南部地域の沿岸沿いの低地や完新世段丘において津波堆積物の詳細調査を行った.また,昨年度同様に津波堆積物を検討するための比較検討対象として,沿岸低地の津波堆積物の情報収集も併せて行った. その結果,最終度の研究の展開に向けて有用な知見を得ることができた.また,H29年度のリアス式海岸での調査では釜石市大槌湾において,過去の大規模津波の痕跡の可能性のある特徴的なイベント堆積物の発見に成功した.現在,貞観地震津波,弥生時代の津波,およびそれ以前の巨大津波の可能性のある3層を認識しており,堆積物組織の計測を実施中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示したとおり,H29年度は,リアス式海岸を特徴づけるようなイベント堆積物の新しく発見することができた.また堆積物の組織を計測も進めている.特に,新しく立ち上げた粒子形状把握のための画像解析システムは実際の運用ステージに入っている.またリアス式海岸における津波堆積物を検討するための比較検討対象として,沿岸低地の津波堆積物の情報収集も併せて行った. 1)Takashimizu and Iiyoshi (2016)で公表した定量的円磨度評価手法を適用するための候補地選定を去年実施したが,その中から今年度は検討対象を決めて,解析を進めることができている. 2)情報収集として,学会・研究集会や他大学の専門研究者の元を訪れ最新の研究知見を得て,研究戦略の構築に努めた. 3)昨年度立上げた,画像解析装置(顕微鏡デジタルカメラAxiocam ERc 5)を用いた粒子画像のデジタル化ルーチンの運用が開始された. 4)リアス式海岸地域の津波堆積物評価のコントロール地域として,福島県南相馬市の沿岸低地を遡上した津波堆積物の情報収集を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度・H29年度の研究から,最終年度(H30年度)は,日本海側の海成段丘に保存された津波堆積物の調査を進める.また,H29年度の解析を夏までに進め,研究結果の公表を目指す.
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Causes of Carryover |
理由: H28年度同様に,H29年度もリアス式海岸の代表地として考えていた三陸海岸地域において本調査にまで至る適地の選定に時間がかかったが,最終的に適地を選定することはできた.このことにより実際の使用額にずれが生じている. 使用計画: H30年度において過年度の成果を踏まえた上で調査研究を進める予定であり,予定通り最終年度のデータを取得し,成果を公表していきたい.
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[Journal Article] 日本各地の多様な津波堆積物2017
Author(s)
髙清水 康博, 後藤 和久, 菅原 大助, 藤原 治, 川上 源太郎
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Journal Title
地質学雑誌 Online ISSN : 1349-9963 Print ISSN : 0016-7630
Volume: 123
Pages: III-IV
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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