2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K05638
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
坂上 仁志 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (30254452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城崎 知至 広島大学, 工学研究科, 准教授 (10397680)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | レーザー核融合 / 高速点火 / 統合シミュレーション / レーザーイオン加速 |
Outline of Annual Research Achievements |
2次元相対論的粒子コードと2次元加熱燃焼コードによる2次元統合シミュレーションが実施でき,詳細なコア加熱特性の評価が可能になった.この結果,従来の1次元統合シミュレーションと2次統合シミュレーションでは大きな相違があり,イオン補助加熱の効果は過小評価されていたことがわかった.また,密度や中性子反応率で平均化した単一温度のみでコア加熱特性を評価することは,危険であることもわかった. 中実球ターゲットでは,金コーン内への爆縮プラズマの流入は抑制されるためので,加熱効率低下の要因になると考えられているコーンチップをなくしたターゲットでの実験が行われているため,コーンチップなしでも2次元統合シミュレーションを行った.この結果,高速電子による加熱効率は大幅に向上し,イオン補助加熱の寄与は相対的に下がることがわかった.このため,高効率コア加熱に向けて,ターゲット構造の更なる最適設計が必要である. 2016年度に実施したFIREX統合実験に対するシミュレーション解析では,コーンチップなし,中実球ターゲット,外部印加磁場の導入により,高速電子によるコア加熱効率は,従来より大幅に改善され,6%程度にまで達することがわかった. 一方,光圧加速により生成する炭素イオンを用いるイオン加熱高速点火については,統合シミュレーションを実施し,点火に要するレーザーおよびイオン源ターゲットの条件を評価した.その結果,高エネルギーイオンだけではなく高速電子による加熱も重要であることがわかった. 更に,爆縮による高密度圧縮コアの形成シミュレーションでは,DT燃料を充填した中実球を用いた場合においても燃料コアが形成され,外部磁場が印加された場合でも燃料コアが形成されることを確認した.これらの燃料コアに加熱レーザーを想定した統合シミュレーションを行ったところ,外部磁場があれば加熱効率が改善することを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2次元相対論的粒子コードと2次元加熱燃焼コードを結合した2次元統合シミュレーションが実施可能となり,定常的にコア加熱特性を詳細に評価できる環境を構築できた.この結果,加熱用レーザーの高エネルギー化/長パルス化に対応したイオン源として,従来より厚くした低密度フォームを用いたターゲットによるイオン補助加熱や,高速電子によるコア加熱効率を妨げない金コーンチップをなくしたターゲットを用いた場合における総合的なコア加熱効率を調べることができるようになった.ただし,FIREX統合実験に用いられている加熱用レーザーLFEXの不調に伴い,種々のレーザーパラメータに対するドライバ粒子の特性評価については,研究が遅れている. 2次元輻射流体コードには,高速電子の影響を考慮した非局所電子熱伝導および磁場による電子熱伝導の非等方性を取り入れたモデルが導入でき,輻射流体シミュレーションの高機能化/高精度化が完了した.この結果,キャパシターコイルターゲットにより生成された強磁場中での中実球の爆縮シミュレーションが実施でき,FIREX統合実験で生成される爆縮コアの評価が可能になった. 一方,外部生成磁場の金コーンターゲット中への拡散については,金の導電率,熱容量を評価し,それらのデータを基にMaxwell方程式を解くことで計算した.その結果,磁場の拡散は導電率の影響を大きく受け,コーン内部へ拡散する磁場は渦電流により大きく減少する可能性が示され, 金の導電率を実験的に計測することの重要性が確認された. また,近年の実験室におけるキロテスラ級磁場生成の発展を踏まえ,より強力な数十キロテスラの磁場環境下における高強度レーザープラズマ相互作用のシミュレーション研究を実施し,高強度レーザーが高密度プラズマ中に侵入する条件が明らかになった.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,加熱用レーザーのレーザー強度およびパルス長に対するドライパ粒子の特性を詳細に評価し,FIREX基礎物理実験の結果と比較しつつ,コア加熱を最大化するためにレーザーパラメータを最適化し,FIREX統合実験に導入する可能性を探る. また,加熱用レーザーのパルス長を10 ピコ秒にすることが計画されているが,数ピコ秒を超えるレーザーパルスとプラズマの相互作用では,ピコ秒以下のレーザーパルスを用いた従来の相互作用とは異なった現象の起きることが,最近報告されている.そこで,数ピコ秒のレーザーパルスとプラズマの相互作用を高精度にシミュレーションするため,2次元相対論的粒子コードについて,動的負荷分散を実装した並列計算手法を更に整備し,イオン源としてパルス長に対応した厚さのフォームを導入し,粒子の境界条件を改善すると共に,生成された高速電子および高エネルギーイオンの観測方法にも改良を施す.そして,より大規模な統合シミュレーションを実施する. 現在のFIREX統合実験では,外部生成磁場による高速電子のガイディングを想定しているが,繰り返しが必須であるレーザー核融合炉レベルを考慮すると工学的な困難さに直面する.そこで,外部生成磁場ではなく,積極的に磁場が自己生成されるターゲット構造を設計し,その磁場で高速電子をガイディングすることが期待される.この磁場の自己生成には,異なった材質による導電率の差を利用する機構が考えられるため,2次元相対論的粒子コードによる詳細な解析を行い,その磁場の時間発展を評価する. その他,各コードのシミュレーションモデルを改良しながら高速化も図り, 統合シミュレーションの精度を上げて,FIREX統合実験を先導できるデータを供給する.
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Causes of Carryover |
クラスタエレメントの購入価格が,当初予定した価格より安くなったため,次年度使用額が生じた. 次年度使用額は,翌年度分と合わせて,外付けSSDの購入費として利用する.
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[Journal Article] Compression and electron beam heating of solid target under the external magnetic field for fast ignition2017
Author(s)
H. Nagatomo, T. Johzaki, T. Asahina, M. Hata, K. Matsuo, S. Lee, A. Sunahara, H. Sakagami, K. Mima, K. Iwano, S. Fujioka, H. Shiraga, and H. Azechi
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Journal Title
Nuclear Fusion
Volume: 57
Pages: 086009
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Improvement in the heating efficiency of fast ignition inertial confinement fusion through suppression of the preformed plasma2017
Author(s)
Y. Arikawa, S. Kojima, A. Morace, M. Hata, S. Sakata, S. Fujioka, T. Kawashima, Y. Hironaka, K. Shigemori, Y. Abe, Z. Zhang, X. Vaisseau, S. Lee, T. Gawa, K. Matsuo, K.F.F. Law, Y. Kato, S. Matsubara, S. Tosaki, A. Yogo, H. Nagatomo, et al.
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Journal Title
Nuclear Fusion
Volume: 57
Pages: 066022
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Magnetohydrodynamics of laser-produced high-energy-density plasma in a strong external magnetic field2017
Author(s)
K. Matsuo, H. Nagatomo, Z. Zhang, P. Nicolai, T. Sano, S. Sakata, S. Kojima, S. Ho Lee, K.F.F. Law, Y. Arikawa, Y. Sakawa, T. Morita, Y. Kuramitsu, S. Fujioka, H. Azechi
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Journal Title
Physical Review E
Volume: 95
Pages: 053204
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Boosting laser-ion acceleration with multi-picosecond pulses2017
Author(s)
A. Yogo, K. Mima, N. Iwata, S. Tosaki, A. Morace, Y. Arikawa, S. Fujioka, T. Johzaki, Y. Sentoku, H. Nishimura, A. Sagisaka, K. Matsuo, N. Kamitsukasa, S. Kojima, H. Nagatomo, M. Nakai, H. Shiraga, M. Murakami, S. Tokita, J. Kawanaka, N. Miyanaga, K. Yamanoi, T. Norimatsu, H. Sakagami, et al.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 7
Pages: 42451
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Production of intense, pulsed, and point-like neutron source from deuterated plastic cavity by mono-directional kilo-joule laser irradiation2017
Author(s)
Y. Abe, A. Sunahara, S. Lee, T. Yanagawa, Z. Zhang, Y. Arikawa, A. Morace, T. Nagai, T. Ikenouchi, S. Tosaki, S. Kojima, S. Sakata, N. Satoh, T. Watari, K. Nishihara, T. Kawashima, A. Yogo, H. Sakagami, H. Shiraga, H. Nishimura, K. Mima, H. Azechi, T. Norimatsu, M. Nakai, and S. Fujioka
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Journal Title
Appl. Phys. Lett.
Volume: 111
Pages: 233506
DOI
Peer Reviewed
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