2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K05638
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
坂上 仁志 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (30254452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城崎 知至 広島大学, 工学研究科, 准教授 (10397680)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | レーザー核融合 / 高速点火 / 統合シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
大阪大学レーザー科学研究所で実施されたFIREX統合実験では,加熱により達成されたコア温度は2 keV程度であり,更に高温まで加熱するためには加熱エネルギーの増大が必須である.そこで,当初の研究計画を変更し,加熱レーザーのエネルギーを増強する方法とそれを利用して得られる効果についての先行研究に注力した. 加熱レーザーのエネルギーを増強する方法として,1)レーザー強度の増加,2)パルス長の延伸,3)照射スポット径の拡大が考えられる.1)については,高速電子が現状より高温化して平均自由行程が長くなり,効率的にコアを加熱できなくなることが懸念される. まず,現実的な手法である2)について,パルス長延伸の効果を簡易的に評価するため,統合シミュレーションにより燃料コアの加熱特性を評価する際,2次元粒子コードのデータを半径方向に2倍引き延ばし,時間軸方向にも2,4,6倍引き延ばして粒子ビームの全エネルギーを増やした.この結果,温度上昇により衝突周波数が小さくなるため,粒子ビームがデポジットするエネルギーの割合は,粒子ビームエネルギーが増加する割合より悪くなることがわかった.一方,高密度コアの方が温度上昇は小さく衝突周波数の低下も小さいので,コア内にデポジットするエネルギーの割合は良くなり,密度で平均したコア温度も同様であることもわかった. 次に,3)については,生成面が広くなるため,高速電子をコアまでガイドするだけではなく,コアの大きさにまで集束させる必要があり,ミラー比20程度の強収束磁場を考えて統合シミュレーションを行った結果,加熱の高効率化が可能であることを示した. また,急峻な温度勾配が含まれるレーザープラズマの輻射流体シミュレーションでは,熱平衡分布から外れる高速電子成分が熱輸送へ及ぼす影響が無視できなくなるため,非局所電子熱伝導モデルの改良を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2次元相対論的粒子コードと2次元加熱燃焼コードを結合した2次元統合シミュレーションを定常的に実施して,コア加熱特性を詳細に評価しているが,当初の研究計画にあったダブル加熱レーザービームおよび自己生成縦磁場による高速電子ガイディングを導入した場合における加熱効率の向上効果の評価については,緊急性が高い加熱レーザーエネルギー増強についての先行研究に注力したため,研究が遅れている. なお,注力した研究の成果については研究実績の概要で述べた通り,パルス長延伸の効果を簡易的に評価して加熱効率が維持されること,照射スポット径を拡大してもミラー比20程度の強収束磁場を用いれば高効率の加熱が可能であることを示した.しかし,実験で使用する大阪大学レーザー科学研究所の加熱レーザーは,大阪北部地震の影響のため不調となり,実験との比較研究は実施できなかった. 2次元輻射流体コードについては,非局所電子熱伝導モデルを改良し,レーザープラズマ相互作用で発生する高速電子の非局所加熱も考慮したモデルを構築するため,粒子シミュレーションを行い,誘導ラマン散乱によって発生する高速電子のエネルギースペクトル分布データを取得した.また,イオンと電子の二温度プラズマモデルおよび全エネルギーの保存性の双方を両立したスキームを開発し,新たな2次元輻射流体コードを開発した.そして,その輻射流体コードに2次元レーザー光線追跡モジュールを実装し,レーザーのプラスチックへの照射問題の解析を行った. さらに,数十キロテスラの磁場環境における高強度レーザープラズマ相互作用の粒子シミュレーション研究を引き続き実施し,レーザー生成ホイッスラー波の高密度プラズマ中での伝播が阻害される現象について詳細に調べ,その阻害機構を明らかにした.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度には,大阪大学レーザー科学研究所の加熱レーザーの再調整が完了する見込みであり,パルス長を10ピコ秒にすることが計画されている.このため,パルス長延伸の効果を詳細に解析するため,10ピコ秒のレーザーパルスとプラズマの相互作用を高精度にシミュレーションしなければならない.これは,2次元相対論的粒子コードにとって,非常に大規模かつ長時間のシミュレーションになる未踏の領域である.そこで,2次元相対論的粒子コードについて,動的負荷分散を実装した並列計算手法を更に改良し,粒子および電磁波の境界条件を改善すると共に,生成された高速電子および高エネルギーイオンがシミュレーションシステムに充満する問題についても,解決方法を実装する.そして,パルス長延伸による効果について,実験との比較研究を進め,当初の目的をより精緻に達成する. 現在のFIREX統合実験では,外部生成磁場による高速電子のガイディングを想定しているが,繰り返しが必須であるレーザー核融合炉レベルを考慮すると工学的な困難さに直面する.そこで,外部生成磁場ではなく,積極的に磁場が自己生成されるターゲット構造を設計し,その磁場で高速電子をガイディングすることが期待される.この磁場の自己生成には,異なった材質による導電率の差を利用する機構が考えられるため,2次元相対論的粒子コードによる詳細な解析を行い,その磁場の時間発展を評価する. 2次元輻射流体コードについては,誘導ラマン散乱によって発生する高速電子のエネルギースペクトル分布データを用いて非局所加熱も考慮したモデルを構築し,コードへ実装する. その他,各コードのシミュレーションモデルを改良しながら高速化も図り,統合シミュレーションの精度を上げて,FIREX統合実験を先導できるデータを供給する.
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Causes of Carryover |
招待講演をするため出席を予定していた国際会議の開催時期が,3月から4月に変更になったため,次年度の4月に旅費として利用する. 実験で使用する大阪大学レーザー科学研究所の加熱レーザーは,大阪北部地震の影響のため不調となり,実験との比較研究は実施できなかったため,その比較研究を次年度に実施する.
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[Journal Article] Super-ponderomotive electron acceleration in blowout plasma heated by multi-picosecond relativistic intensity laser pulse2018
Author(s)
S. Kojima, M. Hata, N. Iwata, Y. Arikawa, A. Morace, S. Sakata, S. Lee, K. Matsuo, K.F. F. Law, H. Morita, Y. Ochiai, A. Yogo, H. Nagatomo, T. Ozaki, T. Johzaki, A. Sunahara, H. Sakagami, Z. Zhang, S. Tosaki, Y. Abe, J. Kawanaka, S. Tokita, M. Nakai, H. Nishimura, H. Shiraga, H. Azechi, Y. Sentoku, and S. Fujioka
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Journal Title
arXiv: 1803.02514 v1 [physics. plasm-ph]
Volume: 1803
Pages: 02514
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Magnetized fast isochoric laser heating for efficient creation of ultra-high-energy-density states2018
Author(s)
S. Sakata, K. Matsuo, S. Kojima, S. Lee, H. Morita, T. Johzaki, H. Sawada, K. F. F. Law, A. Yao, M. Hata, A. Sunahara, Y. Abe, H. Kishimoto, A. Syuhada, T. Shiroto, Y. Iwasa, A. Morace, A. Yogo, N. Iwata, M. Nakai, H. Sakagami, et al.
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 9
Pages: 3937
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] 1-Hz Bead-Pellet Injection System for Fusion Reaction Engaged by a Laser HAMA Using Ultra-Intense Counter Beams2018
Author(s)
Y. Mori, Y. Nishimura, K. Ishii, R. Hanayama, Y. Kitagawa, T. Sekine, Y. Takeuchi, N. Satoh, T. Kurita, Y. Kato, N. Kurita, T. Kawashima, O. Komeda, T. Hioki, T. Motohiro, A. Sunahara, Y. Sentoku, E. Miura, A. Iwamoto, and H. Sakagami
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Journal Title
Fusion Science and Technology
Volume: 75
Pages: 36~48
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] Magnetic field guiding of electron beam for reduction of ignition requirement in fast ignition laser fusion2018
Author(s)
T. Johzaki, M. Horio, S. Takeda, W. Kim, T. Endo, H. Nagatomo, S. Fujioka , and A. Sunahara
Organizer
60th Annual Meeting of the APS Division of Plasma Physics, Oregon Convention Center, Portland, Oregon USA, Oral, November 5 (2018).
Int'l Joint Research
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